イチゴの炭疽病多発で注意報 静岡県2020年11月9日
静岡県病害虫防除所は県内全域でイチゴの炭疽病発症率が平年と比べ高いことから、11月6日に病害虫発生予察注意報第2号を発表した。
![葉と葉柄に発生した病斑](https://www.jacom.or.jp/nousei/images/nous20110922_1.jpg)
8月上中旬に行ったイチゴ育苗ほ場の巡回調査では、県下全域で平年と比較して発病株率、発生面積率ともに高い状況にあった。そのため、潜在感染した多数の苗が本ぽに定植されたと考えられる。
10月中下旬に行ったイチゴ本ぽの巡回調査では、東部地域の炭疽病平均発病株率は7.4%(平年1.0%)、発生面積率は40%(平年20%)、中部地域の平均発病株率は7.2%(平年0.9%)、発生面積率が20%(平年11%)、中遠地域の平均発病株率は5.6%(平年0.9%)、発生面積率は50%(平年18%)となり、県下全域で発病株率、発生面積率ともに平年より高い状況となっている。
病原菌の発病適温は25~30℃で、株の萎凋症状や葉に斑点型病斑を示す。気象庁の1か月予報(10月31日~11月30日)では、気温が平年並から平年より高いと予想。施設内の温度が高く維持されるため、この病害の発生を助長すると考えられることから、11月以降の随時防除するよう注意を呼びかけている。
この病害は発病株が感染源となり周囲へ被害が拡大するため、発病株や発病が疑われる株の早期発見に努め、発病株は培地も含めて抜き取りほ場外へ出す。罹病残渣は肥料袋などに入れ、残渣重量の半分程度の水を添加した上で密閉し、嫌気的発酵処理を行い処分する。冬期の場合は殺菌に2カ月程を要するとしている。
発病後の治癒は困難なため、定期的な予防散布が防除の主体となる。薬剤抵抗性発達を避けるため同一系統薬剤の連用は避け、異なるFRACコードの薬剤を用いてローテーション散布を行う。また、使用薬剤の収穫前日数に注意し、病原菌の感染経路となるため、ランナー切除や下葉除去など株を傷つけるような作業後は重点的な薬剤散布を行うとしている。
次年度の対策では、この病が発生したほ場は土壌消毒を行い、育苗ほの炭疽病対策を徹底して感染した苗の本ぽへの持ち込みを防ぐ。薬剤等の使用については、静岡県農薬安全使用指針・農作物病害虫防除基準を確認し、不明な点は病害虫防除所、農林事務所等など指導機関に問い合わせることを推奨している。
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