りんごの黒星病に薬剤耐性菌確認 北海道2020年11月19日
北海道病害虫防除所は、全道のりんご栽培地域で薬剤耐性リンゴ黒星病菌が発生していることから、11月17日に注意報第4号を発表した。
リンゴ黒星病菌の耐性菌検定(遺伝子変異検定)結果
これまで北海道では、平成30年度病害虫発生予察情報第20号(特殊報第2号)で、培地検定及び遺伝子変異検定の結果から後志、胆振、渡島地方におけるリンゴ黒星病のQoI剤耐性菌とDMI剤感受性低下菌の発生を報告。
今年、これらの耐性菌、感受性低下菌と判断した黒星病菌について、実際に薬剤を散布して効果の有無を、りんご苗木に病原菌を接種する前後にQoI剤、DMI剤を散布し検定した。
![リンゴ黒星病薬剤耐性菌(変異型)における各薬剤の防除効果](https://www.jacom.or.jp/nousei/images/nous20111920_333.jpg)
その結果、薬剤耐性(変異型)と判定された菌株では、いずれの防除効果も低下しており、このことからDMI剤感受性低下菌についても耐性菌であると判断した。 これに加え、今年8月から10月にかけて空知、上川地方の一般園から採取したリンゴ黒星病菌で、 耐性菌特有の遺伝子変異を検定した結果、計10園地で薬剤耐性(変異型)黒星病菌が高頻度で認められた。 これらの経緯から、全道のりんご栽培地域で薬剤耐性リンゴ黒星病菌が発生しており、QoI剤、DMI剤の防除効果が低下していることが考えられる。そのため、今後の黒星病防除に際して薬剤の選択に注意を促している。
具体的な防除対策として、耐性菌が確認された地域では、この病を対象とした防除にQoI剤、DMI剤を使用しない。また、耐性菌が認められていない地域でも黒星病の発生状況を観察し、防除効果の低下が疑われた場合は、速やかに他系統の薬剤を用いて防除を実施する。 QoI剤、DMI剤以外の薬剤を使用する場合も、農薬工業会や日本植物病理学会殺菌剤耐性菌研究会が公表しているガイドライン等を参考にして、薬剤耐性の発達を抑えるよう注意を促している。
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