夢と希望が持てる対策を-甘味資源作物対策JA主産道県代表者集会2020年12月1日
JA全中は12月1日、東京都内で甘味資源作物対策JA主産道県代表者集会を開き、令和3年産の対策決定に向け与党国会議員に生産現場の実態を伝え、万全な対策の確立を求めた。
東京都内のホテルで開いた代表者集会
集会は北海道、鹿児島県、沖縄県の生産者、JA関係者約90名が参加したほか、集会の模様をウェブで主産地に中継した。来賓には与党衆参国会議員が参加した。
主催者の中家徹JA全中代表理事会長は「甘味資源作物は地域経済を支えるとともに、国境、離島を守る大きな役割を果たしている。一方、TPP11協定の発効など国際交渉の進展による将来不安の高まりや、台風など自然災害の多発、新型コロナウイルスの影響による消費減退など状況は非常に厳しい。将来の不安を払しょくする万全な甘味資源対策に尽力願いたい」とあいさつ。山野徹・JA全中甘味資源対策委員長は「近年は生産者の高齢化や労働力不足などで生産基盤が弱体化しているほか、台風など自然災害やサツマイモの基腐病など病害虫の発生もあり産地は大変厳しい。生産者が夢と希望を持てる甘味資源対策の確立と、その後押しのもと産地振興に全力に取り組む」と述べた。
集会では主産地から代表要請を行った。
JA北海道中央会の小野寺俊幸代表理事会長は、▽畑作構造転換事業と産地生産基盤パワーアップ事業畑輪作確立枠の十分な予算確保、▽豊作を喜べ生産現場が納得できる誠意あるてん菜対策、▽ジャガイモシストセンチュウ類防除対策や種子用馬鈴しょへの支援拡充など馬鈴しょ対策を求めた。また、米国が求めている馬鈴しょ生塊茎の輸入解禁は病害中の流入リスクを高め生産基盤の毀損につながるとして断じて容認しないことも強調した。
JA鹿児島県中央会の山野徹代表理事会長は、さとうきびとでん粉原料用甘しょの生産者交付金について、物財費が増加していることから再生産可能な交付金の設定を求めたほか、▽自然災害や病害虫発生などによる経営への悪影響を防止する重要な事業であるさとうきび増産基金事業の万全の予算確保、▽基腐病の拡大を防止するための農薬の研究開発や早期登録、新品種への早急な切り替えなどのための支援の拡充などを強調した。とくに地際の茎が黒変し、茎葉は黄色、紫色に変色して枯れるサツマイモ基腐病は、梅雨明け以降の猛暑で拡大し昨年以上の発生が目立っているとして「産地には大きな危機感がある。息の長い対策を」と要請した。
JA沖縄中央会の大城勉代表理事会長は▽再生産可能な甘味資源作物交付金水準の確保、▽さとうきび増産基金事業の継続と予算確保、▽さとうきび増産対策の予算確保などを求めるとともに、分蜜糖工場の経営安定対策として「働き方改革関連法」への対応として人材確保や増員に向けた宿舎整備などの対策も求めた。大城会長は「国境を守る島々への対策としても実現を」と強調した。
出席した自民党農林・食料戦略調査会の塩谷立会長は「食料安保と国土保全の観点から基幹作物として生産努力されている。価格については要望に対応できるよう努力していく。しっかり詰めていく」と述べた。
また、公明党の石田祝稔副代表は「島のさとうきびには品物以上の価値があることを改めて考えなければならない」と述べるとともに、現行の交付金が生産費と販売価格の差を補てんする制度となっており、努力してコストダウンをすると交付金が減額される仕組みの問題点も指摘、「豊作を喜べない農業でいいのか」とも話した。
集会では最後に要求実現に向け参加者がガンバロー三唱をした。
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