イチゴ等冬に向けた防除法を紹介 東京都2020年12月2日
東京都病害虫防除所はイチゴやトマトなど、作物の病害虫防除方法をまとめ、11月27日に「12月の防除のポイント」として公表した。
主な作物の病害虫防除法は次のとおり。
![ハダニ発生場所の目印](https://www.jacom.or.jp/nousei/assets_c/2020/12/nous20120223_1-thumb-300xauto-9021.jpg)
〇イチゴ
【ハダニ類】
12月以降のハダニ類は施設外からの侵入がほとんどないため、今後は施設内の個体数を減少させることが重要となる。効率的な防除の工夫として、発生場所に旗等の目印を立てる方法を紹介。
その利点として、発生場所の可視化や防除効果が確認できる点を挙げている。旗など目印を立てることで、散布後の調査でハダニの生息範囲が広がったり、旗付近での生き残りが多ければ、前回の対策が不十分であったことが確認できる。
その結果、今後の薬剤や散布時期の変更などについての判断が容易になるため、このような工夫も取り入れたハダニ対策を推奨している。
〇促成長期どりトマト
【タバココナジラミ及びトマト黄化葉巻病】
トマト黄化葉巻病の原因となるタバココナジラミは、外部からの侵入はほとんどなくなるため、施設内に生息する個体の防除が重要となる。
そのため、11月に引き続き幼虫に対し効果の高い殺虫剤も併用し、施設内の徹底防除を促している。
この種は比較的高温を好むため、低温期は発育が遅くなり、幼虫が長い間寄生することになる。そのため、冬季は葉かきを適度に行い、下葉を除去することで防除効果が高まる。
【灰色かび病】
この病は20℃前後の多湿条件下で被害が拡大しやすく、施設栽培では灰色かび病が発生し始める時期となる。施設内が過湿条件になると病原菌が蔓延する恐れがあるため、適度な換気を呼びかけている。
また、茎葉が繁茂すると発生しやすくなるため、適正な肥培管理と適度な葉かきを促している。 発生を確認した場合、発病部位を除去するとともに、防除指針を参考に予防も含め、薬剤散布を行う。その際、同一の殺菌剤を連用すると耐性菌が出現する恐れがあるため、系統の異なる薬剤のローテーション散布を推奨している。
![コマツナの白さび病](https://www.jacom.or.jp/nousei/images/nous20120223_2.jpg)
〇アブラナ科野菜
【白さび病】
この病はハクサイ、ダイコン、コマツナ等アブラナ科野菜類に発生する病害で、葉裏に不規則にふくれた白色の粉状の塊を形成し、葉の黄化や奇形を引き起こす。 また、ダイコンの白さび病菌は根部に黒色のリング状斑紋(わっか症)を発病する。
病原菌は比較的低温を好むため、晩秋から早春にかけて降雨が多いと発生しやすくなる。そのため、ほ場を注意深く観察し、発生を確認した場合は被害葉を除去し、防除指針を参考に薬剤散布を行う。
![ダイコンのわっか症](https://www.jacom.or.jp/nousei/images/nous20120223_3.jpg)
【べと病】
11月の巡回調査では、一部のほ場で発生を確認。この病は例年12月~3月の低温時期に発生が確認され、特にカブやダイコンでは、地下部に黒変症状を引き起こすことがあり、注意が必要としている。
作物が長時間濡れた状態だと急速に拡大し、防除が難しくなるため換気等を行い、作物体周囲の湿度をできるだけ低く保つよう注意を促している。 また、発生を確認した場合、発病葉は速やかに除去し、防除指針を参考に薬剤を散布することとしている。
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