県内で初めてキク退緑斑紋ウイロイドが発生 島根県2020年12月8日
島根県病害虫防除所は、キク退緑斑紋ウイロイドによるキクわい化病の発生を同県で初めて確認したことを受け、12月4日に特殊報第3号を発令した。
上位葉での病徴
8月下旬、県東部の露地栽培のキク(スプレーギク)の中位葉~上位葉に退緑、えそ、奇形等の症状が発生し、一部の株で葉枯れを確認した。農水省神戸植物防疫所に診断を依頼した結果、キク退緑斑紋ウイロイド(Chrysanthemum chlorotic mottle viroid:CChMVd)が検出され、島根県で未発生の病原ウイロイドが確認された。今回の発生株はCChMVd単独感染となる。
キク退緑斑紋ウイロイドは、昭和42年に米国で初めてキクで感染を確認。国内では平成15年に秋田県で初めて確認されその後、京都府、大阪府、愛知県、広島県、滋賀県、福岡県等で発生している。
病徴として、単独感染では病徴を示さないことが多いが、小ギクやスプレーギクの一部品種で病徴が認められた事例がある。
これまでの症例では、葉脈沿いや株全体の退緑症状、下位葉が明瞭に退緑、赤変していき、次第に上位葉へと進展して、その後枯れ上がるという事例が報告されている。今回の発生ほ場では、葉の退緑輪紋症状を確認したが、キク退緑斑紋ウイロイドとの関連は明らかになっていない。また、同ウイロイドは、品種や他のウイルスやウイロイドとの重複感染で大きく異なり、病徴は高温、高照度条件で現れやすいとされる。
伝染は接触(汁液)伝染のみとし、土壌伝染、虫媒伝染はしない。宿主はキクとチョウセンノギクとなる。 防除対策として、無病の苗または挿し穂を使用する。葉のこすれあいや、罹病株を作業したハサミ等の刃物に付着した汁液で感染するため、管理作業時の接触伝染、刃物を介した伝染を防ぐよう注意する。罹病株を抜き取り、ほ場外に持ち出して適切に処分するよう呼びかけている。
疑わしい症状が発生している場合は、島根県病害虫防除所(農業技術センター 資源環境研究部 病虫科:0853-22-6772)に連絡する。
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