振動による新たなタバココナジラミの防除法を開発 森林総合研究所、琉球大学2020年12月9日
琉球大学と森林総合研究所の研究チームは12月7日、果菜類や観葉植物、花き類に被害を与えるタバココナジラミの防除法として、植物を介して振動を与えることで定着を低減する研究成果を発表した。
![農業害虫タバココナジラミ(撮影:柳澤隆平氏、協力:金野俊洋氏)](https://www.jacom.or.jp/nousei/images/nous20120929_1.jpg)
タバココナジラミは、トマトをはじめとした様々な野菜、観葉植物、花き類を加害する重要農業害虫で、ほとんどの化学農薬に対して薬剤耐性を示すため、化学農薬だけに頼らない新たな防除技術が求めてられてきた。
今回、研究成果を発表した琉球大学農学部博士課程の柳澤隆平氏(鹿児島大学大学院連合農学研究科)、諏訪竜一准教授、立田晴記教授、森林総合研究所の高梨琢磨主任研究員らの研究グループは、昆虫の振動に対する感受性に着目し、これまで研究を進めてきた。
実験の配置
植物を介して振動を与える実験では、2棟のビニールハウスにトマトを12株ずつ用意し、トマトを振動させる「加振区」とその対照区として、トマトを振動させない「無加振区」を設置。加振区では、振動を発生させる加振器を設置し、加振器から直接伸ばした樹脂製の横棒を各トマトの支柱と垂直に接続することで、植物体に振動を与えた。
実験開始前には、あらかじめタバココナジラミを一株あたり30匹放飼し、植物に100Hzの振動を毎日7時から18時まで、30分おきに1秒加振、9秒休止という刺激を1分間与え、振動を与えた日から5日ごとに、各トマトの葉上に定着したコナジラミの成虫数と幼虫数を調査した。
その結果、加振区の成虫と幼虫の密度は、無加振区と比べ減少した。特に幼虫では、無加振区の約40%減少が確認したことが確認された。これにより、植物体に振動を与えることで、植物上のタバココナジラミの個体数を減少させられることが明らかになった。
今後は加振器の改良を行い、振動の伝達方法やタイミングを工夫することで防除効果を一層高めるとともに、植物に対するプラスの効果も追究していく。
また研究グループは、難病害虫の物理的な防除技術を確立することで、化学農薬の利用頻度を低減すること、さらに有効な防除策が打てなかった害虫に対して利用可能であることから、持続可能な農業生産に貢献していける技術として大きな第一歩となると考えている。
重要な記事
最新の記事
-
米価 過去10年で最高値 60kg1万5865円 対前年比114%2024年7月17日
-
【東京農業大学鼎談】実学主義の価値(2)DX戦略にも地域色拡充2024年7月17日
-
【東京農業大学鼎談】実学主義の価値(3)JAは食・農の好循環先導を2024年7月17日
-
「小さな協同」実践 JA松本ハイランドの自己改革 新世紀JA研究会全国セミナー2024年7月17日
-
「きっトラ」と「もし寅」【小松泰信・地方の眼力】2024年7月17日
-
【訃報】生活クラブ生協連の加藤好一顧問が逝去2024年7月17日
-
【人事異動】農水省(7月16日付)2024年7月17日
-
【注意報】ナシ、ブドウなどに果樹カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 三重県2024年7月17日
-
ガチャピン・ムックとコラボ「ニッポンエール」グミ発売 JA全農2024年7月17日
-
日本農業の未来をけん引する人材育成へ 宮城県加美農業高校とNTT東日本グループが連携2024年7月17日
-
唐沢農機サービス「夏の大展示会」開催 200台を超える農機具を展示2024年7月17日
-
【注意報】大型斑点米カメムシ類、カスミカメムシ類による斑点米発生に注意 千葉県2024年7月17日
-
【注意報】水稲に斑点米カメムシ類 県下全域で多発のおそれ 岩手県2024年7月17日
-
「第3回 全国桃選手権」開催 全国から45品がエントリー 日本野菜ソムリエ協会2024年7月17日
-
ハウス栽培向け環境制御システムのラインアップを拡充 クボタ2024年7月17日
-
【役員人事】石巻埠頭サイロ(4月1日付)2024年7月17日
-
葉の光合成速度の低コスト・低労力・高速推定法を開発 農研機構2024年7月17日
-
表参道で佐賀県産「いちごさん」絶品ひんやりスイーツ「いちごさんどう2024夏 」開催2024年7月17日
-
長野県塩尻市と山口県岩国市の歴史的風致維持向上計画を認定 農水省など2024年7月17日
-
生とうもろこしまるかじり 昭和村で農業体験開催 パルシステム群馬2024年7月17日