米1000t超の輸出40産地を育成-輸出拡大戦略2020年12月10日
政府は11月30日に決めた輸出拡大実行戦略で日本の強みを活かし輸出拡大余地の大きい27品目を重点品目に選定した。このうち農産物は牛肉、豚肉、牛乳・乳製品、米・米加工品など14品目。牛肉では2019年の輸出額297億円を2025年に1600億円に増やす目標を設定した。米・米加工品では1000t超の輸出用米に取り組む産地を30~40産地育成するなど2019年の52億円を2025年に125億円とする目標を掲げた。
牛肉は15の輸出産地をつくることを目標とする。生産から輸出まで一貫して取り組むコンソーシアム(共同事業体)の構築や、食肉処理施設の整備など輸出先国が要求する条件への対応や、繁殖雌牛の増頭奨励金交付、牛舎の整備など生産基盤の強化を支援する。
果樹のうち、りんごは水田への新植、省力樹形の導入などによる生産力の強化や、輸出事業者と連携したコンソーシアムの形成などを支援し7つの輸出産地を育成する。
農水省は輸出向けの生産を行う輸出産地をリスト化し重点的支援する。令和2年度中にリスト化する方針だ。
たとえば、野菜について、かんしょは輸出拡大に意欲的な12産地を育成する。焼き芋がアジアで大人気で輸出が急増している。茨城県のJAなめがたしおさいはタイ、香港、シンガポールなどに輸出、昨年は40t、今年は100tに伸びているという。
タマネギなどその他の野菜についても、水田からの転換ほ場を利用し生産性の高い産地形成に取り組む。
米では1000t超の輸出用米の生産に取り組む産地を育成する。農水省は30~40産地をリスト化するとしている。
香港には中食・外食を中心にした需要開拓で2019年15億円を25年に36億円をめざす。米国に対しては外食、ECなどの需要開拓とパックご飯、米粉のさらなる市場開拓をはかり、7億円を30億円とする目標を掲げる。中国に対してはEC、贈答用需要の開拓と指定精米工場の活用で4億円を19億円に伸ばす。
宮城県のJAみやぎ登米は農家所得の工場と将来の販路拡大を見据え、平成30年度に(株)神明の提案をきっかけに輸出を開始した。取り組む生産者は235人から令和2年度には474人となった。平成30年度は「ひとめぼれ」938tを香港を中心に米国、タイに輸出した。令和元年度には「つきあかり」も加えて1835t、令和2年度には2428tと単協では最大級の取り組みとなっている。作付け面積は168ha、329ha、435haと推移している。ただ、管内全体の米作付け面積の約5%に過ぎない。JAみやぎ登米によると、輸出に向けた課題は低価格で安定した品質の米の供給。そのため「つきあかり」など多収性品種の導入を促進している。
富山県のJAみな穂は共同計算で同水準の生産者手取りとなるよう備蓄米、米粉用米、そして輸出用米の数量をJAが調整している。令和2年産は1150tを輸出用米とした。米国、中国ほか31か国に輸出しているという。令和3年産は150t~200tの増産も検討している。農水省はこうした米産地を輸出産地として支援する。
そのほか農水省は輸出拡大に向け、基準に適合した防除体系、有機栽培への転換、減農薬栽培など技術、抵抗性品種などの開発も推進する。また知的財産対策として、海外での品種登録、臨時国会で設立した改正種苗法に基づく輸出先国・地域の指定など行う品種数など数値目標も定める。
政府が輸出拡大実行戦略では「JAグループなどの農林漁業者団体は、自ら目標等を設定しつつ、輸出促進に主体的に取り組み、農林水産省は、これに助言を行う」ことが盛り込まれている。
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