全国で発生の可能性 厳重警戒を-鳥インフル2020年12月25日
今シーズン全国32例目の高病原性鳥インフルエンザが確認された千葉県は採卵鶏の飼養羽数1200万羽を超える全国2位の大産地。発生農場では116万羽を飼養しており、1農場の殺処分羽数は過去最大となる。殺処分羽数は合計で約464万羽。全国13県で発生している。12月24日に開いた農水省の専門家会合で千葉県での発生は「日本全国で発生する可能性があるとの予測を裏づけるもの」として、養鶏場の農場関係者など、消毒など例外を作らず「どんな場合でも確実に実施すること」など発生予防策のさらなる強化を提言、農水省はこれらを都道府県を通じて現場に飼養衛生管理の徹底など厳重警戒を求めていく。
24日に開かれた専門家会合(家きん疾病小委員会・高病原性鳥インフルエンザ疫学調査チーム検討会合同会合)では今シーズン1例目から31例目までの現場調査をもとに今後の発生予防、まん延防止対策を検討した。
発生農場は近隣にカモ類など野鳥が飛来する池、川、水路があり、また一部を除いて周りに雑木林もあり野生動物の生育に適した環境になっている。いずれの農場も侵入防止対策が実施されていたが、網が破損するなど、野生動物が侵入可能と考えられた農場も確認されている。
続発している香川県三豊市では複数の農場が短期間で感染することで環境中にウイルスの量が増え、それが野生動物、人などで伝播した可能性などが指摘されている。また、宮崎県では隣接した農場での発生も確認されたことから、人などを介して農場間で伝播したことも考えられるという。
一方、川を挟んだ2つの農場で発生が確認された事例では川にいる野鳥が感染源になって両農場に伝播させた可能性も指摘された。
また、今シーズンのウイルスは死亡するまでの期間が長いことが農研機構の分析で明らかになっていることから、死亡率が通常の2倍未満でも「まとまって死亡している、元気がない、餌食いが悪い、沈うつ状態」といった通常と異なる症状の場合でも早期に通報するなど厳重な警戒が必要だとした。
ゴールデンウィークまで安心できない
農場では野鳥やネズミなど野生動物の侵入しないようネットを張るなど防止対策が重要だが、会合では「野生動物を近くに寄せ付けない対策も重要」と指摘し、鶏舎周辺に隠れ場所となるような物を置かないように整理整頓したり、草刈りやさらに周辺樹木の剪定も効果的だとした。
消毒については、車両は農場の出入口で入念に消毒、鶏舎に入る者は手指、長靴の消毒、専用の衣服、長靴の使用の徹底が必要だが、今回は実効性を高めるためにも「例外をつくらない、どんな場合でも確実に実施する」こと習慣づけることを強調した。
家きん疾病小委員会の伊藤壽啓委員長(鳥取大農学部教授)は「日本国内のいたるところでウイルスが養鶏場に入る可能性がある」と警告する。今シーズンのウイルスは昨年ヨーロッパで流行したウイルスが起源で渡り鳥によって運ばれたことが明確になっている。日本への渡り鳥のルートは(1)シベリアから北海道、東北へ、(2)中国大陸から日本海を渡って日本列島へ、(3)朝鮮半島から九州などへ、がある。今年はウイルスに感染した渡り鳥が9月ごろから飛来しており、現在、かなりの数が国内にいることが考えられるという。伊藤委員長は「北海道・東北で積雪になると餌を求めて南下する。それにともなってウイルスも南下する可能性もある」と指摘する。全国で厳重な警戒が必要で「ゴールデンウィークまでは安心できない」と強調した。
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