県内で初めてセルリー萎縮炭疽病確認 静岡県2021年1月19日
静岡県病害虫防除所は1月18日、県内で初めてセルリー萎縮炭疽病を確認したことを受け、特殊報第5号を発令した。
細かいえそ斑点が多数形成され、萎縮する芯葉
10月に県西部地域の露地セルリーほ場で、芯葉部位に多数のえそ斑が生じ、奇形を伴う病害が発生した。静岡県農林技術研究所で病斑部から分離した菌の形態、培地性状および遺伝子解析を行った結果、同県では初めての発生となる。
この病は長野県で2011年に初めて報告され、既報のC.fioriniae(異名C.acutatum)による炭疽病とは症状が異なることから、萎縮炭疽病と命名されている。国内での発生は長野県に次いで2例目となる。
病徴は芯葉に細かいえそ斑点を多数形成し、葉が奇形となったり、葉巻(カール)する症状がみられる。収穫期に近づくと萎縮、矮化などの生育異常が顕在化する。
この病は種子伝染し、罹病残渣も翌年の伝染源となる。セルリー以外に野菜ではパセリ、スイカ、イチゴ、花きではストック、果樹ではブドウ、ビワなどで病原菌として報告があるが、相互の感染は明らかになっていない。菌糸生育適温は25~30℃、発病適温が24~28℃と比較的高温である。
![葉柄のえそ斑図](https://www.jacom.or.jp/nousei/images/nous21011922_2.jpg)
防除対策では、汚染種子が1次伝染源となるため、検査済の健全種子の確保に努める。また、温湯消毒も効果があり、種子を50℃の温湯に30分間浸漬して実施する。水温管理を厳密に行い、処理終了後は直ちに冷水で冷却を行ったのち、播種する。温湯処理済の種子は保存しない。温湯処処理を行うことで、斑点病に対する防除効果も得られる。
罹病残渣は翌年の伝染源となるため、作終了後および育苗、定植前にほ場内の残渣の片付けを行う。栽培期間中に発病を確認した場合、この病は全身病徴を示すため、病斑部だけでなく発病株を見つけ次第、ほ場外に持ち出し処分する。
セルリー萎縮炭疽病を対象とする登録農薬にはダコニール1000がある。予防剤であるため斑点病防除と合わせ、予防散布に努める。この菌は比較的高温性であることから、盛夏期に定植する作型では特に注意し、前作で多発したほ場では、定植時期を遅らせることも検討する。
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