半農半X サポート者も支援を検討-農水省2021年1月22日
農林水産省は1月20日に開いた「新しい農村政策の在り方に関する検討会」に、農村の地域づくりをサポートする者についても支援を検討する考え方を示した。
農村に人を呼び込むためには、所得と雇用機会の確保が重要だが、これまでの農業の6次産業化にとどまらず、今回の検討会では農業や食品にとどまらず、観光や福祉、教育など農村のあらゆる地域資源をフル活用した農村発イノベーションで新たなビジネスを展開することを重視している。
これまでの検討会では、農村で所得と雇用機会を確保している「世帯」と「事業体」に分けて施策を検討している。「世帯」には自営の専業的な農業者はもちろん、観光など非農業の自営世帯、さらに農業と農業以外の仕事を組み合わせて所得を確保している、いわゆる「半農半X」と呼ばれる住民も増えてきた。
また、農業だけでなく、食品加工や、観光、再生可能エネルギーなど多角的に事業を展開している地域商社的な事業体と、地域住民のニーズに応えて、集落営農組織を母体として農地保全や、農業振興に取り組み、さらに子育てや福祉などにも取り組む地域運営組織もある。これを農村地域づくり事業体と呼んでいる。
検討会では今後の農村政策では、ここに挙げた農業者の以外の世帯と事業体も支援対象として、その支援のあり方を検討してきた。
それに加えてU・Iターンで新規就農をしようとしている人たちを地域でサポートする組織や人にも支援が必要だとの意見が出されている。
第5回検討会でJA全国女性組織協議会の前会長の川井由紀委員は「新規就農者の生活が安定するまでJA出資法人などが雇用の受け皿となって一定の収入を確保することが必要で出資法人への継続的な支援が不可欠」との意見を示した。また行政やJAのOBが活発に地域づくりをサポートしている地域は活性化されていると実態を話した。
こうしたことから農水省は農業者や地域づくりに関わる人をサポートする組織や人などへの支援のあり方を検討する方針を示した。
サポートの事例として農水省は徳島県のJAかいふと行政によるきゅうりタウン構想の取り組みを上げる。高齢化が進むなか、きゅうり産地として再生を図ろうと新規就農者を都会から呼びよせている。JAがきゅうり塾を開き、先進的な養液栽培技術などを身につけてもらい「30aで所得1000万円」を目標に掲げた。2020年度までに24人を「海部きゅうり塾」が受け入れ18人が就農している。
また、JA全農おおいたの労働力支援事業も農業に関心のある人や、社会的弱者などを雇用し、とくにコロナ禍では困窮する人や観光業界など異業種からの受け入れで、農業参入のハードルを下げていると位置づける。今回の政策検討はこうした事業なども農村政策のなかで検討するという構図となっている。
重要な記事
最新の記事
-
花は見られて飽きられる【花づくりの現場から 宇田明】第71回2025年10月23日
-
続・戦前戦後の髪型と床屋・パーマ屋さん【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第361回2025年10月23日
-
「ゆるふわちゃんねる」登録者数100万人突破 JAタウンで記念BOXを限定販売 JA全農2025年10月23日
-
佐賀県発の新品種ブランド米「ひなたまる」デビュー記念 試食販売実施 JAグループ佐賀2025年10月23日
-
AI収穫ロボットによる適用可能性を確認 北海道・JAきたそらちと実証実験 アグリスト2025年10月23日
-
被爆・戦後80年 土浦市で被爆ピアノの演奏と映画上映 パルシステム茨城 栃木2025年10月23日
-
協同組合を3か月にわたり体験 インターンシップ修了報告会開催2025年10月23日
-
化学肥料7割・化学農薬5割削減で米を収穫 プラネタリーバウンダリーに取組 旭松食品2025年10月23日
-
愛知県「カインズ 岡崎美合店 」23日にグランドオープン2025年10月23日
-
アレンジレシピに感心 38ブース出展し「商品展示会」開催 パルシステム山梨 長野2025年10月23日
-
「移動スーパーとくし丸」ベルジョイスと提携 盛岡市で今冬から開業へ2025年10月23日
-
「アニマルウェルフェアシンポジウム」宮崎で開催 畜産技術協会2025年10月23日
-
需要に応じた生産が原理原則 鈴木農相が就任会見2025年10月22日
-
新農相に鈴木憲和氏 農政課題に精通2025年10月22日
-
鳥インフルエンザ 北海道で今シーズン1例目を確認2025年10月22日
-
【2025国際協同組合年】協同組合間連携で食料安全保障を 連続シンポ第7回2025年10月22日
-
身を切る改革は根性焼きか【小松泰信・地方の眼力】2025年10月22日
-
将来を見通せる農政一層前に 高市内閣発足・鈴木農相就任で山野全中会長が談話2025年10月22日
-
丸の内からニッポンフードシフト「NIPPON FOOD SHIFT FES.東京2025」開催 農水省2025年10月22日
-
来年の米生産 米価高を理由に3割が「増やしたい」米生産者の生産意向アンケート 農水省2025年10月22日