労協法成立で意志固め ワーカーズコープがフォーラム2021年1月27日
昨年12月4日に成立した労働者協同組合法(労協法)を記念し、日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)連合会は1月25日、東京都内でフォーラムを開き、労協法の意義を確認するとともに、今後の活動へ向けた決意を新たにした。フォーラムでは記念講演、各地のワーカーズコープが「協同労働」の取り組みをリレートークしたほか、全国の地方自治体の首長がメッセージを送って参加。オンラインを含め、約300人が参加した。
労協法成立を記念し、300人が参加したフォーラム(東京都内で)
目に見える成果を
フォーラムではワーカーズコープ連合会の古村伸宏理事長が、労協法成立後の課題として「協同労働を、どう実質化していくか、協同労働による『よい仕事・仕事おこし』『持続可能な地域づくり』をどう結んでいくか、具体的に目に見える形で成果をあげていきたい」と、決意を述べた。
記念講演では池上惇・京都大学名誉教授と広井良典・京都大学こころの未来研究センター教授がそれぞれ協同労働の意義と労働者協同組合の役割について話した。池上教授は、「労働者自身が出資し、自ら創意工夫して、各地で仕事を起こしつつ働き、経営まで責任を負うことで、「労働の陣地から経営の領地にうって出ることができる。労働者でありながら、経営の力量を持つ、新たな人材を輩出する基盤となる」と、特に地域での活動に期待を示した。
広井教授は人口の減少とポストコロナ社会について、各人が自由度の高い形で多様な働き方や生き方をデザインし、自らの創造性を伸ばしていく時代と分析。「そのことが地域や経済の活性化につながる。労働者協同組合はそうした時代の要請に応じる組織形態」と、位置付ける。
ポストコロナは生命産業
また、ポストコロナ社会では「生命」関連産業の重要性が高まることを強調。「健康・医療」「環境(自然エネルギーを含む)」「生活・福祉」「農業」「文化」など、包括的な意味の「生命」がポスト情報化時代の科学や経済社会の基本コンセプトになるのではないか」と問題提起。その担い手である「〝小さな協同〟としての労働者協同組合の重要性が高まる」と指摘した。
リレートークでは、林業関係で、ワーカーズコープセンター事業団の取り組みの報告があった。その一つ、宮城県女川町で、廃業した製材所の事業を引き継ぐ「継業」に取り組む「フォレストキーパーズ(Forest Keepers)は、2018年に林業の経験のない3人が始めた。製材だけでなく、障がい者や子ども、高齢者も参加できる木工製作、さらに竹材や木材を使った芸術祭なども開いている。製作工房や物販ブース、憩いのスペースなどを備えた「森の駅女川」建設も視野に入れている。
また兵庫県豊岡市で、次世代に遺す森づくりを進めている「ネクストグリーン(Next
Green)但馬」は、植林・間伐などの森づくりをメインに、フォレストチャレンジ、バンブーチャレンジなど体験型イベントを通じて、自然の中での子育てなど、さまざまな事業を起こす「森の百業」をめざしている。
ジャーナリストのワーカーズも
このほか、ジャーナリストを組合員とする異色の協同組合「アンフィルター(filtered)」が新規組合員加入を呼びかけた。この協同組合はジャーナリストと読者がつくるオンラインメディアで、「人権の尊重や社会正義を基本とした編集方針を掲げ、草の根の視点を重視した記事やコンテンツを発信する」としている。労働者協同組合としての法人格取得の準備を進めているという。
地方自治体のなかには、高齢者福祉や学童保育などで、労働者協同組合と連携しているところが多く、フォーラムで世田谷区(東京)、徳島県、滋賀県、三好市(徳島県)、福津市(福岡県)などの首長が、それぞれメッセージを送った。国際協同組合同盟(ICA)のアリエル・グアルコ会長、韓国労働者協同組合連合会のパク・カンテ会長からもエールのメッセージがあった。
また、来賓で出席した田村憲久・厚生労働大臣は「ワーカーズコープは、今の時代に合った働き方で、地域でさまざまな事業を起こしている。社会がどう変わるか楽しみだ」と期待を示した。このほか、与党の議員による協同労働の法制化に関するワーキングチーム座長代理の枡屋敬悟衆議院議員など、法制化に尽力した衆参議員ら多数がメッセージを送った。
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