ネムリユスリカの乾燥耐性を解明 農研機構、理研などが共同研究2021年2月5日
農研機構は2月3日、理化学研究所などの共同研究で、干からびても死なない乾燥無代謝休眠の特性を持つ昆虫・ネムリユスリカが有する乾燥に強くなるために必要な物質とその役割を解明したと発表した。
ネムリユスリカの幼虫は、カラカラに干からびても死に至らず、再び水に浸すだけで蘇生する特殊な能力を持っており、これまで農研機構ではこの昆虫のゲノム概要の配列を明らかにし、乾燥耐性に関連している遺伝子を特定。その研究過程で乾燥ネムリユスリカ幼虫の体内に、乾燥保護物質としてトレハロースやLate Embryogenesis Abundant(LEA)タンパク質などを多く蓄積していることが明らかになった。
今回、網羅的な代謝産物同定技術を用いたメタボローム解析で、ネムリユスリカの乾燥幼虫体内に蓄積している物質の役割りを調べた結果、細胞の乾燥保護に寄与するトレハロースが抗酸化活性の駆動する役割りを持ち、乾燥後再び水に浸した場合、すぐにエネルギーの合成が出来るような仕組みや、老廃物を無毒化してから蓄積していることなどが明らかになった。
研究グループでは今回の研究成果を活用し、冷凍・冷蔵に頼らない生物素材の保存技術の開発や代謝経路をゲノム編集で調節することで、細胞や組織の常温乾燥保存技術の構築を目指すとしている。
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