ネギハモグリバエ別系統を県内で初確認 大分県2021年2月9日
大分県農林水産研究指導センターは、白ネギにネギハモグリバエ別系統(Liriomyza chinensis Kato)の発生を県内で初めて確認。2月5日に特殊報第3号を発表した。
ネギハモグリバエ成虫
8月に北部地域と豊肥地域で、ネギの葉がハモグリバエ類に著しく食害され、無数の食害痕や葉の白化症状が確認された。この被害状況が従来のネギハモグリバエとは異なり、他県で発生が確認されたネギハモグリバエ別系統に類似していたため、採取した幼虫を羽化させ、農研機構野菜花き研究部門野菜病害虫・機能解析研究領域(虫害ユニット)に遺伝子解析を依頼した。その結果、従来の系統(A系統)とは異なる別系統(B系統)と同定された。
B系統は2016年に京都府で初めて確認されて以降、これまで北海道と沖縄県を除く24都府県で発生を確認。九州地域では2020年2月に佐賀県、同年12月に鹿児島県で特殊報を発令した。
両系統の外観による系統の識別は困難とされ、どちらも成虫の体長は約2mmで胸部と腹部は黒く、その他の部分は淡黄色をしている。幼虫はうじ虫状で成長すると体長約4mmに達し、蛹は体長約3mmの褐色で俵状である。
A系統はネギをはじめとするユリ科ネギ属植物を食害するが、B系統は現在のところネギのみで確認されている。両系統とも成虫は葉の組織内に産卵し、孵化した幼虫は葉の内部に潜り込んで葉肉を食害する。幼虫は成長すると葉から脱出し、地表または土中で蛹になる。
B系統はA系統に比べ、1葉あたりの幼虫数が多く、複数の幼虫が内部に潜り込み集中的に葉肉を食害する。B系統の初期の食害痕は、A系統と同様に不規則な白線状だが、食害が進むに連れ近接した食害痕同士が癒合し葉が白化する。
防除対策では、ほ場での発生を確認した場合、系統に関わらずネギハモグリバエまたはハモグリバエ類に適用のある薬剤で発生初期の防除を徹底する。また、被害葉や収穫残渣はこの虫の発生源となるため、ほ場に放置せず1か所にまとめて積み上げた後、ビニールなどで覆い、裾部分を土で埋めるなどして適切に処分するよう呼びかけている。
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