県内で初めてネギリゾクトニア葉鞘腐敗病確認 岩手県2021年2月10日
岩手県病害虫防除所はネギ栽培ほ場で県内初のネギリゾクトニア葉鞘腐敗病を確認し、2月8日に特殊報第3号を発表した。
![枯死したねぎ外葉](https://www.jacom.or.jp/nousei/images/nous21021011_1.jpg)
2019年7月に同県北東部に位置する洋野町のねぎ栽培ほ場で、外葉が退色・倒伏し、枯死する症状が確認された。翌年7月には北上市、8月には矢巾町と花巻市のねぎ栽培ほ場で同様の症状が発生し、倒伏した外葉の基部には、菌糸がクモの巣状に充満していた。
岩手県農業研究センターで分離菌の培養性状の調査および遺伝子診断を実施した結果、これまで同県では未確認のRhizoctonia属とその関連属菌によるネギリゾクトニア葉鞘腐敗病と判明した。
今回の原因菌群は、この病の病原菌であるRhizoctonia solani Kühn5菌群(AG-1 IB、AG-4 HG-I、AG-4 HG-II、AG-4 HG-I+II、AG-5)のほか、Binucleate Rhizoctonia AG-AおよびWaitea circinata var. zeaeと確認された。この病は2005年に北海道で初めて発見され、2013年に青森県で薬剤による試験が行われている。
岩手県内で確認されたネギリゾクトニア葉鞘腐敗病の分離菌群
この病は発生は畦単位で多くみられ、土寄せなどを行い、土壌と接触した葉鞘と葉身基部のみが発病する。外葉は枯死するが株全体が枯死することはない。発病後の葉鞘は淡褐色となり、軟化・腐敗する。発病した葉鞘から伸びた葉身は枯死し、引っ張ると容易に離脱する。また、腐敗した葉鞘内や枯死した葉身基部、土壌表面には菌糸が充満した状態となる。
糸状菌類のRhizoctonia solaniによる土壌伝染性病害で、連作ほ場で発生が多くみられる。罹病植物残渣上や土壌中で越冬した菌糸または菌核が一次伝染源となり、土壌中に菌糸を伸長させ、土寄せ後5~10日程で発病する。外葉の枯死枚数がわずかの場合は被害が少ないが、外葉の半数以上が枯死すると減収する。生育適温は19~23℃とされ、日平均気温が19℃以上で発生する。
防除対策では、土寄せを深めにすると発生を助長するため、土寄せ時は1回の培土量を少なくし培土の回数を増やす。発病しても株全体が枯死することはないが、多発する場合はネギリゾクトニア葉鞘腐敗病に適用のあるアミスター20フロアブルやリゾレックス粉剤を散布するよう促している。
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