みどり戦略策定で奥農中理事長らと意見交換-農水省2021年2月12日
農林水産省では農業の生産性向上と持続性の両立を実現するための新たな戦略として「みどりの食料システム戦略」の策定に向けて野上農相を本部長とする戦略本部で検討を進めている。その策定にあたって関係者との意見交換を行っており、2月10日は農林中央金庫の奥和登代表理事理事長らと意見交換を行った。
会合には葉梨康弘農林水産副大臣が出席した。葉梨副大臣はEUや米国が化学肥料や化学農薬の削減を打ち出し国際ルールにしようと動いていることを指摘し、日本も気候変動への対応とスマート農業などの活用による生産力の向上などを図りながら、「アジア・モンスーン地域を代表するかたちでルールメーキングに参加するためにも野心的な目標を掲げた戦略を策定する必要がある」ことなどを説明した。
そのうえでドローンを使った農薬散布のサービス事業体や、加工や輸送システムのグリーン化などを支援する投資や出資が農林中金に期待されていることなどを話した。
奥理事長は「一次産業の持続性が大事。コロナ禍で外食産業需要の減退で生産段階では価格と量の両方でダウン寸前ということで、改めて食のバリューチェーンのレジリエンスの大切さを感じている」と述べたほか、気候変動や生物多様性は全世界の経営者の共通認識になってこと、農林水産業は人の命を育む食べ物を生み出す、まさにエッセンシャルな産業だが、一方で温室効果ガスなど地球環境に負荷をかけていることもしっかり認識していかなければならないと話した。
農林中金は投融資などの事業活動を通じて、こうした環境問題や社会問題にどう課題解決にあたるのかを期待されているとして、みどりの食料システム戦略が「生産から加工、流通、消費までのバリューチェーン全体像についての関係者の羅針盤となるものと考えている。しっかりとこの問題を考えていきたい」とあいさつした。
農林中央金庫からは大竹和彦代表理事専務コーポーレート本部長と新分敬人代表理事専務グローバル・インベストメンツ本部長も出席した。
農林水産省は1月から生産者や農業団体などと戦略策定に向けて意見交換を行っている。3月には中間とりまとめを行い5月の戦略を策定する。今年9月には国連で初の食料システム戦略サミットが開かれることになっており、そこに向けて食料の安定供給に向けた生産性向上と持続性の両立を図るこの戦略を発信していくことにしている。戦略には農薬や肥料などの使用について年限を設けた2050年に向けての工程表も示す。
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