振動でチャバネアオカメムシを防除へ 農研機構、森林総合研究所2021年3月23日
農研機構は3月17日、森林総合研究所との共同研究で、果樹害虫のチャバネアオカメムシが振動に対する感受性を持つことを解明したと発表した。この反応を利用し、振動によってカメムシを追い払う新しい物理的防除技術の可能性が示された。
チャバネアオカメムシ成虫
農林害虫のチャバネアオカメムシは、発生量が多い年は残効性が長く対象範囲の広い殺虫剤を数回散布する必要があり、生産者の負担となっていた。このような殺虫剤の多用は、天敵を殺してしまい他の害虫が大発生する要因になるとともに、殺虫剤の効かない害虫を生み出すことにもつながる。そこで農研機構と森林総合研究所は、殺虫剤だけに頼らない新たな防除法の開発を進めてきた。
チャバネアオカメムシを追い払うイメージ
今回、様々な条件の振動を振動発生装置を用いてカメムシに与え反応を観察。その結果、カメムシは振動に対し「停止する」「伏せる」「歩きだす」「足踏みする」などの行動を示し、特に150Hzや500Hzなどの低い周波数に対して感受性を持つことが明らかになった。
チャバネアオカメムシは日本全国に分布し、カンキツ類やリンゴ、ナシ、カキなど多岐にわたる果樹を加害するため、振動を用いた防除技術の利用場面は広くその有効性は高いと考えられる。今後は振動によるカメムシ防除技術の実用化を目指し、被害の軽減程度や振動が樹体や果実の品質などに及ぼす影響について検証を行う。振動装置の改良も含め、製品化に向けた共同開発を進める方針。
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