県内初のオリーブ立枯病を確認 静岡県2021年3月30日
静岡県病害虫防除所は、オリーブにオリーブ立枯病(病源菌:Ralstonia solanacearum)を県内で初めて確認。3月26日に特殊報第7号を発表した。
変色したオリーブの枝断面
8月に静岡県西部地域のオリーブほ場で、葉枯れや樹木全体が萎凋枯死する症状を確認した。症状があった樹は枝や幹の木部は変色し、変色部からは菌泥の漏出が見られ細菌が分離された。この細菌を名古屋植物防疫所に同定依頼したところ、Ralstonia solanacearum,(phylotype I, biovar 3)と判明した。
この病はブラジル、中国などで確認されており、国内では2018年に香川県で初めて発生が確認され、その後鹿児島県、宮崎県、広島県で発生が報告されている。
罹病樹では葉枯れや落葉、果実の萎凋が生じ、その後、枝や樹木全体が枯死する。また、症状の出ている枝や幹を切断すると木部に褐色の変色がみられる。
![葉枯れ、果実の萎凋症状](https://www.jacom.or.jp/nousei/images/nous21033021_2.jpg)
この病原菌であるRalstonia solanacearumに起因する青枯病は、ジャガイモやトマトなどのナス科植物をはじめバナナ、ショウガ、ダイコン、イチゴなど非常に広範囲な植物で発生し、熱帯~温帯地域を中心に世界各地に分布する。
オリーブへの感染経路は明らかにされてないが、一般的には土壌中に生息するこの細菌が植物根部の傷から侵入しその後、維管束部で増殖することで水分の移動を阻害し植物体を萎凋させる。同防除所によると、県内のオリーブ立枯病の発生ほ場は1ほ場だという。
防除対策は次のとおり。
(1)この病のオリーブでの登録農薬はない。加えて、この病原菌を土壌中から完全に除去することは困難なため、防除方法は耕種的防除のみとなる。
(2)発病樹は速やかに抜根し、残渣はほ場内に放置せず焼却するなどして適切に処分する。
(3)ほ場へ出入りの際は、この病または青枯病の感染ほ場に由来する植物残渣や土を衣服や靴から十分に落し、靴や手袋等は70%エタノールや次亜塩素酸ナトリウム水溶液の噴霧で消毒を行う。
(4)管理作業によっては、病原菌が樹液とともにハサミやノコギリ等の道具に付着し、健全株に二次伝染する恐れがあるため、使用道具の消毒を徹底する。また、感染が疑われる樹は剪定等の作業を最後に行う。
(5)この病害の既発生地から苗を導入する場合は十分に注意し、過去にナス科作物等での青枯病やこの菌を原因とする病害が発生したほ場での栽培は避けるよう注意を呼びかけている。
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