殺処分数987万羽 令和2年度鳥インフル 飼養衛生管理の徹底を2021年5月19日
農林水産省の家きん疾病小委員会と高病原性鳥インフルエンザ疫学調査チームは5月14日、2020(令和2)年度の高病原性鳥インフルエンザの発生状況の分析結果とそれに基づく提言をまとめた。今シーズン流行した高病原性鳥インフルエンザウイルスの型はH5N8亜型だったが、遺伝子解析の結果、5つの遺伝子型があることが分かり病態が異なることも示唆された。提言では飼養衛生管理基準の徹底して守ることなど基本を強調した。
今シーズンの高病原性鳥インフルエンザは昨年11月5日に香川県で発生した。2年10カ月ぶりの発生で今年3月13日の栃木県での発生で18県52事例が確認された。
殺処分数は約987万羽でこれまでにない規模での発生となった。また、千葉県では100万羽を超える大規模な農場で複数発生するなど、農場単位でみても過去に例がない。大規模な採卵鶏農場で発生したことから鶏卵の価格にも影響を与えている。
農場での発生は採卵鶏32例、肉用鶏14例、種鶏場4例のほか、あひる農場でも2例の発生があった。採卵鶏では69%がウインドレス鶏舎だったが、肉用鶏はすべてが開放鶏舎だった。発生農場の周辺環境は、川に近い山林に面した農場、水田に囲まれた農場、ため池に近い農場が多かった。
国内で今シーズンに発生した高病原性鳥インフルエンザウイルスは農研機構の分析で①2019年から20年にかけての冬、②2020年の冬に欧州で流行していたウイルスと近縁であることが分かっている。また一部はこの冬に韓国で分離されたウイルスと近縁だった。これらのことからヨーロッパのウイルスが渡り鳥によって国内に侵入したと考えられており、昨年10月に北海道の野鳥の糞便から最初のウイルスが確認されていることから、そのころまで侵入していた考えられている。
世界的にみても昨シーズンは発生がなかった西ヨーロッパや韓国で発生しており、フランスでは490事例、韓国では116事例が確認されている。
ウイルスはいずれもH5N8亜型だったが、遺伝子解析の結果、5つの遺伝子型があることが分かった。ウイルスを感染させた試験によると遺伝子の型によって平均死亡時間に違いがあることや、元気消失やチアノーゼといった臨床症状を示す前からウイルス排泄が認めれた型もあった。
遺伝子型の違いで病態が異なる可能性が示されたが、時間とともに死亡数が増加することに変わりはなく、高病原性鳥インフルエンザ疑いの早期発見や早期通報では、死亡数の増加は有効な指標だとしている。また、あひるでは産卵率の低下、神経症状が指標として有効だという。
発生農場への侵入経路は、疫学調査の結果、長靴の交換をしていないなどの衛生対策の不備や、鶏舎の破損による野鳥や猫などの野生動物の侵入の可能性も考えられた。また、今シーズンは香川県で同一地域内で続発した例があったが、この原因について立ち入り調査時に強制換気による鶏舎外への羽などの飛散が認められおり、今後、これによる感染拡大リスクについても検証していく必要があるとしている。
今シーズンの事例では養鶏密集地域で続発するケースもあり、発生農場だけでなく周辺のため池周辺や主要道路、地域で面的な消毒を実施した。
一方、100万羽を超える規模の採卵鶏農場で複数の発生があり、防疫措置に時間がかかり、埋却場所などの選定に苦慮したことも指摘し、大規模農場での発生を想定した事前準備が重要と指摘した。
これらの分析をふまえた提言では、飼養衛生管理基準の遵守を改めて徹底する必要があると強調した。家きん舎に入る際の手指消毒や家きん舎ごと専用の手袋・長靴の使用が重要だとしている。また、それらの更衣の際の交差汚染を防ぐ手順での実践も求められる。
こうした手順を従業員が確実に遵守できるよう飼養衛生管理マニュアル(令和4年2月施行)は図示や多言語化するとともに、講習会の開催なども求めている。家きん舎周辺の整理・整頓と防鳥ネットの設置、破損があった場合の速やかな修繕も強調した。
早期通報が重要だが、提言では「通例の2倍以上の死亡、チアノーゼの症状」など具体的な数値や症例写真などを認識を共有しておく取り組みの重要性を提言した。
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