ワクチン接種出遅れ 景気回復の足かせ 農中総研経済見通し2021年5月24日
農林中金総研は5月21日、2021~22年度改訂経済見通しを発表した。21年度の経済成長率は3.3%と予測したが、ワクチン接種の出遅れで3月時点の総研見通しより下方修正した。
1月~3月期のGDPは新型コロナの感染再拡大で自粛ムードが強まったほか、GOtoキャンペーンの一時中止などの影響で3四半期ぶりのマイナス成長となり、▲1.3%、同年率で▲5.1%となった。
20年度のGDPは名目で▲4.0%、実質で▲4.6%と、それぞれ8年ぶり、2年連続でのマイナスとなった。実質成長率▲4.6%は戦後最悪。リーマンショック時の▲3.6%を下回った。
4月~6月期は、東京、大阪、愛知など3回目の緊急事態宣言によって自粛ムードが再び強まり、消費に悪影響が出ているが、米国と中国の景気回復で輸出の勢いが強まっていることから、前期比年率1.6%とプラス成長が見込まれる。ただし、感染状況次第では下振れの可能性もあると指摘している。
国内でも高齢者へのワクチン接種が開始されたが、一般国民への接種が進み、集団免疫を獲得するまではまだ時間がかかる。そのため農中総研は21年度の景気持ち直しペースはなかなか上がらず「ストップ・アンド・ゴー」の状態が続く。
ただし、21年度下期には内外でワクチン接種による集団免疫の獲得が期待されることから、経済活動の正常化に向けた動きが本格化する予測。2021年度は3.3%と3年ぶりのプラスとなる見込みだという。しかし、ワクチン接種の出遅れの影響をふまえ、3月時点での予測よりも下方修正した。
22年度の予測は2.6%と前回から上方修正した。ただ、経済正常化は一気に進むことは想定できず、GDPの直近ピーク水準(19年7~9期)への回復は23年1~3月期まで難しいという。
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