新型コロナの影響を特集-「白書」を閣議決定2021年5月25日
政府は5月25日の閣議で「令和2年度食料・農業・農村白書」を決定した。今回の白書では、世界の経済・社会に大きな影響を及ぼしている「新型コロナウイルス感染症による影響と対応」を特集として掲載している。政府は、農業関係者以外にも広くわが国の食料・農業・農村について理解してもらうことを目指している。
白書は、食料・農業・農村基本法に基づき、政府が毎年、国会に報告することになっている。
新型コロナウイル感染症の拡大による緊急事態宣言の影響で、外食市場全体の2020年売上高が前年比15%と1994年の調査開始以来、最大の下げ幅になった。
2021年1月には緊急事態宣言が再び発令され、感染症の影響を受けた全国の倒産件数は、3月末で飲食店が205件ともっとも多く、食品卸も62件と5番目にあがったことも紹介した。一方では、テイクアウトやデリバリーの利用が増えたことから外食産業でもテイクアウトなどを展開することが増えた。
消費者の1割が販路を失った国内生産者から農水産物を購入する「応援消費」を実施したと回答したことや、食品産業の3割が国内産地との取引を増やしたいと回答したことなども掲載している。理由は販売先の国産志向の高まりが5割を占めたが、課題は価格とする回答は7割あった。
コロナ禍で農業・農村へ関心が高まったことにも触れている。2020年度の就農希望者向け相談会への来場者数は昨年8月期は前年比93%だったが、9月には199%となり、以降、前年の来場者数を大きく上回って推移していることも紹介している。また、半農半Xの事例として島根県邑南町で夏は酒米と野菜を栽培し、冬は地域の酒蔵に勤務する「半農半蔵人」となった沼田高志さんを紹介している。兵庫県出身の沼田さんは東日本大震災を契機に就農を決め、島根県の半農半X支援事業を活用して就農した。
また、徳島県勝浦町の石川翔さん、美緒さんは東京都の民間企業勤務から後継ぎのいないみかん農家の事業を継承した。民宿や古本屋の経営なども開始しているという。半農半民宿の事例だ。そのほか、「コロナをきっかけとして地方に移住」とのタイトルで移住者も紹介している。
内閣府が行った調査では、三大都市圏に住む人のうち、15%が地方への移住について「関心が高くなった、やや高くなった」と回答し、とくに20歳代では22.1%が地方移住への関心が高まったと回答している。
白書は「新型コロナウイルス感染症の拡大にともない、テレワークの実施率が高まっていることを背景に、とくに若い世代で人口過密な地域を離れて仕事をしたいという意向が高まっていると考えられる」とみている。
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