「記録すべきは記録を」養鶏・鶏卵行政で検証委員会 井上座長2021年6月4日
吉川元農相とアキタフーズの秋田元代表が収賄容疑で起訴されたことを受けて農水省が行政の公正性を検証するために外部有識者を構成員として設置した検証委員会は6月3日、野上浩太郎農相に報告書を提出した。
報告書では、調査の結果、養鶏・鶏卵行政について秋田元代表から吉川元農相への働きかけも確認されたが、政策が歪められた事実は認められなかったとしたほか、職員との会食で政策決定の公正性に影響を与えたとは認められなかったとした。
一方で国民からの信頼を得ていくためには行政の透明性をさらに向上させることが重要と指摘した。
検事の経験がある弁護士の井上宏検証委員会座長は委員会を独立性を確保するため、事務局については大臣官房の職員を委員会が指名し、他の職員と接触しないなど情報の遮断措置をとったという。また、関係書類の精査やヒアリングの検証には他省庁からの複数の出向者で法曹資格を持っている職員が担当した。
9回にわたる員会で農水省職員約50名からヒアリングを行ったが、「職員はまじめに受け止めて対応した」と話した。
行政の公正性が損なわれなかったどうかが問題となったが、井上座長は「事後的な検証はやさしい作業ではない」として、検証に必要な記録がなかった面もあったとして「記録すべきものはきちんと記録し材料を整えておき、問題が起きればすぐにそれを使って的確に検証できるようにしておく」、「後からガラス張りになれるように記録を残しておくべき」と強調した。
また、農林水産行政は補助金が多く、「政、官、業が固まってしまうと悪いトライアングルになる。意識して気をつけるべき」と指摘し、国民の目線を十分に意識する必要があると述べた。
報告書を受け取った野上農相は「真摯に受け止めてただちに改善策を検討して実行していく」と述べた。
枝元事務次官ら6名がアキタフーズ側の負担で会食に参加し国家公務員倫理規程違反で処分されたことを受け、農水省は3月から過去に遡って150名の職員を対象に利害関係者との飲食等について追加調査を行った。
その結果、養鶏・鶏卵事業者との会食が18回(うち政治家同席5回)、養鶏・鶏卵事業者以外の畜産事業者との会食が247回(うち政治家同席25回)が確認された。
このうち自己負担をしていなかったものが5件確認され、いずれも政治家が同席していた。この5件について農水省の調査では利害関係者からの聞き取りで利害関係者に負担で飲食したと疑われる会食はなかったという。ただ、同席した政治家が支払ったかどうかは一部の確認にとどまった。
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