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在庫・出口対策が必要-JAグループ 水田農業基本的考え方2021年7月12日

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JAグループは来年産に向け令和4年度水田農業対策に関する基本的考え方を6月の理事会で決めた。食糧法で位置づけられている「米の需給と価格の安定」を中心に総合的な水田農業政策を確立することが必要だと提起している。

散居集落

新型コロナウイルス感染症の拡大で7月12日から東京都に4度目となる緊急事態が発令され、外食を中心とした業務用需要への影響がさらに心配される状況になっている。
主食用米の需要にはコロナ禍が打撃を与えたのは明らかで主産地では2年産米の在庫を多く抱えている。JAグループでは今回はコロナ禍の影響という「予期せぬ需要減」だとして政府として緊急対策を講じるべきだと主張している。

こうした当面の対策と合わせてJAグループは主産県の県中と全中・全農の役員クラスで構成する「水田農業のあり方検討会」を立ち上げ、課題やあるべき姿を検討してきた。

現在の米政策は2018(平成30)年産から国による生産数量目標の配分をなくし入口対策を重視している。飼料用米や加工用米など水田フル活用交付金の予算を拡充して主食用以外への作付けを誘導し、作付け前に需給調整を行うことを重視している。

一方、収穫後の需給調整、いわゆる出口対策として米が過剰になった場合、長期保管をして計画的に販売する取り組みを保管料などで支援する米の周年事業は仕組まれているものの、政府買入れは行わない方針を示している。

米価が下がった場合の手取り確保は下がった収入分の9割を補てんするナラシ対策で行われているが、生産調整を実施しているかどうかは加入要件となっていない。

こうした状況のなか、主食用米は2018年から3年連続で国が示す適正生産の指針よりも過剰となっており、需要減少に応じた生産ができていない。一方、JAグループの集荷率が4割へと低下するなか、需要に応じた生産への取り組みいJAグループだけでは「限界」で、水田農業政策の見直しを求める声は多い。

JAグループの検討会はこうした状況をふまえて、今後の水田農業のあるべき姿としては「食糧法」で位置づけられている「米の需給と価格の安定」を中心に、総合的な水田農業政策を確立する必要があるとの基本的な考え方を打ち出した。

そのための視点として8つを挙げている。

1つは将来の水田農業経営を行っていく前提となる「米の需給と価格の安定」である。これは食糧法の趣旨であり、そのための国の関与を改めて考える必要があるとの視点だ。

2つ目は「作付転換へのインセンティブ」。主食用以外への作付け転換に取り組んでいる生産者と取り組んでいない生産者との不公平感を是正する仕組みの検討が必要だとする。

3つ目は「地域・産地のまとまりを重視」である。転作作物をなどを地域で話し合い、何を作るか地域の裁量を拡大するとともに、そうした取り組みをするJAや集落営農など、産地のまとまりを支援する仕組みが必要だと提起した。

4つ目は「人・農地・作物を含めた産地づくり」。国は人・農地プランで担い手への農地集約を進めるプランの具体化を産地に促しているが、人と農地だけでなく、水田収益力強化ビジョンなど、どの作物を振興するかまで含めた地域営農ビジョンを策定し、それを支援する仕組みづくりを提起している。

さらに5つ目は「在庫・出口対策」。今回のような予期せぬ需給変動への政府の対応や、産地の在庫米対策とあわせ、政府備蓄米の役割を検討することも必要だとしている。
そのほか、▽平地か中山間地かなど、米産地の地域性をふまえた支援のあり方、▽多面的機能支払や中山間地域直接支払いなど、地域政策としての水田農業の位置づけ、▽みどりの食料戦略への対応を挙げている。4年度の基本的考え方として提示しているが、JA全中ではさらに長期的に議論していく必要があるとしている。

また、生産現場へ需給や価格動向、見通しがより正確に迅速に伝わるための仕組みの必要だとしている。全農の相対取引価格は公表されているが、主要銘柄の現物価格の動きを指数化したり、翌年度の概算金水準が分かるような指標づくりも検討していく。

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