千葉県でもサツマイモ基腐病を初確認 関東地方で4都県目2021年7月16日
千葉県農林総合研究センターは、サツマイモ基腐病の発生を県内で初めて確認。これを受け、7月15日に病害虫発生予察特殊報第1号を発令した。関東地方では6月に入り群馬県、茨城県、東京都(既報)で発生が相次いで確認されており、同県は4都県目となった。
千葉県内で確認された茎葉が枯死し地際部が黒変した株(写真提供:千葉県農林総合研究センター)
7月上旬に東葛飾地域のサツマイモほ場で、茎葉の枯死がみられ、地際部の茎に近い部分が黒変した株が確認された。農研機構植物防疫研究部門に同定を依頼した結果、千葉県では未発生のサツマイモ基腐病と判明した。
この病は、平成30年に沖縄県で初めて発生が確認され、その後、鹿児島県、宮崎県、熊本県、福岡県、長崎県、高知県、静岡県、岐阜県、群馬県、茨城県、東京都の12都府県で発生が確認されている。
発病初期には、感染株の葉が黄化し生育不良となり、茎の地際部が暗褐色もしくは黒色に変色する。これらの症状が進行すると、茎葉の枯死や塊根の腐敗がみられ、塊根は主になり首側から腐敗する。塊根は収穫時には無病徴でも、収穫後の貯蔵中に発病することがある。
発病株には、多数の粒状の柄子殻が形成され、雨水などで内部から大量の胞子が漏れ出す。胞子は風雨やほ場の停滞水で拡散し、周辺の株に感染する。
病原菌は宿主作物はヒルガオ科植物で、植物残渣上で越冬し、それが翌年の伝染源となる。
防除対策は次のとおり。
○植付前には、ほ場の排水対策や土壌消毒を十分に行う。
○未消毒の苗は、本病に登録がある農薬で消毒する 。
○発病株(茎葉や塊根)は速やかに抜き取り、ほ場外に持ち出して廃棄するなど、適切に処分する。
○発病株の除去後に、周辺株への感染予防のためこの病に登録のある農薬を散布する 。
○発生ほ場で使用した農機具や資材は、消毒や洗浄を十分に行う。 ○少なくとも2年程度は、サツマイモ以外の作物を栽培または休耕する。
なお、この病に対する詳細な防除対策は、生研支援センターイノベーション創出強化研究推進事業(01020C)令和2年度版マニュアル「サツマイモ基腐病の発生生態と防除対策」を参照する。
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