東海、近畿でウンカ多発に注意 農水省-病害虫発生予報5号2021年7月19日
農水省が7月16日、病害虫発生予報第5号(水稲特集)を発表した。向こう1か月では、水稲でトビイロウンカが東海、近畿で発生が多くなると予想されており、一部の県では注意報を発令し警戒を強めている。
ウンカ被害
気象庁の向こう1か月予報(7月13日付け)では、気温は北日本で高く、降水量は全国的にほぼ平年並みと予想されている。
今後1か月の水稲における主要な病害虫の発生予察情報によると、トビイロウンカは東海以西を中心に多発生となった昨年と同様に、今年も早い時期からこの虫の誘殺が確認されている。
各病害虫の発生予報は以下のとおり。
コブノメイガ
南九州の一部の地域で多くなると予想。上位葉での被害が多くなると収量に影響する。そのため、この虫の本田での発生状況を把握するとともに、都道府県が発表する発生予察情報等を参考に、若齢幼虫の最盛期を合わせた防除を実施する。
セジロウンカ
東海と四国の一部の地域で多くなると予想。この虫は、梅雨時期に中国大陸から飛来し、水田で増殖し水稲を加害する。水田の見回りの際には、株元を注意深く観察し、株元に褐色の点またはすじ状の傷(産卵痕)が目立ち、成虫または幼虫の発生が多く見られる場合は、都道府県が発表する発生予察情報などを参考に、適期な防除を実施する。
トビイロウンカ
東海、近畿で多く、中国、四国、北九州で発生がやや多いと予想。これまで岐阜、三重、奈良、長崎県でウンカに対する注意報が発表されており、今後の気象条件の推移によっては、昨年同様の発生拡大が懸念される。引き続き地域の発生状況を把握しながら、タイミングをとらえた適切な防除を実施を呼びかけている。
ニカメイガ
北陸の一部の地域で多くなると予想される。この虫は局所的に多発する場合があるため、本田の観察を行い、発生に応じた適期な防除を実施する。
斑点米カメムシ類
東北、北陸、中国、四国の一部の地域で多くなると予想され、山形県、石川県から注意報が発表されている。この虫は水田周辺の雑草に生息し、出穂期に水田に侵入し穂を加害する。
そのため、水田周辺の除草は発生量の抑制に効果的だが、出穂期直前の除草はこの虫の水田への侵入を助長し、被害を増加させるおそれがあるため、出穂期の10日前までに完了させる。
フタオビコヤガ
北海道、北東北の一部地域で多くなると予想。本田の観察を行い、幼虫の早期発見に努めるとともに、発生状況に応じた適期な防除を行う。
稲こうじ病
北東北の一部の地域で多くなると予想。昨年この病が多発したほ場のある地域を中心に、今年も多発するおそれがあるため注意が必要。この病は、穂ばらみ期頃の低温・多雨で発生が助長されるため、今後の発生状況に注意し、適期に防除を実施する。
いもち病
南東北、関東、北陸、近畿、四国の一部の地域で多くなると予想。宮城、茨城、埼玉、滋賀県から注意報が発表されており、今後、断続的な降雨がある場合は急激に発生するおそれがある。
水田の観察を行い、この病の発生状況に応じた適期な防除を実施する。なお、一部の薬剤に対し耐性菌が発生しているため、都道府県から発表される発生予察情報などを参考に薬剤を選定する。
縞葉枯病(ヒメトビウンカ)
北関東、四国の一部の地域で多くなると予想。この病は、ヒメトビウンカによって媒介されるウイルス病で、経卵伝染で次世代もウイルス媒介が継続するため、当該虫を対象とした防除の実施が重要とされる。
育苗箱施用剤を施用した苗を移植した水田で、当該虫の防除を実施する場合は、薬剤抵抗性の発達を助長しないよう同一系統の薬剤の連続使用を避けるよう促している。
スクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)
一部の地域で発生している。この虫は、田植え直後の葉や茎が柔らかい時期に水稲を加害する。収穫後の防除では、石灰窒素の散布や冬期の耕うんなどによる殺貝を行い、来年の発生を抑える。
また、耕うん機などの農機具に付着した泥とともに、スクミリンゴガイが他のほ場へ拡散する事例が報告されている。そのため、農機具の泥はよく落としてから移動させるよう注意する。
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