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岩手県でサツマイモ基腐病を初確認 全国で14都県目2021年7月27日

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岩手県病害虫防除所は、県内で初めてサツマイモ基腐病を確認し、7月21日に病害虫発生予察情報特殊報第1号を発令した。

腐敗した種いもの断面(写真提供:岩手県病害虫防除所)腐敗した種いもの断面(写真提供:岩手県病害虫防除所)

7月に一関市のサツマイモ栽培ほ場で、茎葉部の黄化や茎地際部の黒変症状、種いもの腐敗症状が確認された。茎地際部の黒変部位には、小黒点状の分生子殻が形成されており、大きさ、形状の異なる2種類の分生子の型を確認した。

このほ場で採取したサツマイモ茎葉について、農研機構植物防疫研究部門に診断を依頼した結果、岩手県では未発生のサツマイモ基腐病と同定された。

この病は平成30年に沖縄県で初めて確認され、その後、鹿児島県、宮崎県、熊本県、福岡県、長崎県、高知県、静岡県、岐阜県、さらに今年になって群馬県、茨城県、東京都、千葉県へと拡大し、13都府県で発生が確認されている。

発病初期は、ほ場の一部で葉が黄化し生育不良になり、茎の地際部が暗褐色~黒色に変色する。これらの症状が進行すると、茎葉の枯死や塊根の腐敗を生じ、塊根は主になり首側から腐敗が拡大する。また、収穫時には無病徴でも、収穫後の貯蔵中に発病することがある。

病原菌は糸状菌の一種で、主にサツマイモなどのヒルガオ科植物が宿主作物となる。発病株には多数の分生子殻が形成され、降雨などの水で、内部から大量の胞子が漏出する。胞子は激しい風雨やほ場の停滞水で畝や畝間に沿って拡散し、周辺の株に感染する。 この病原菌は、サツマイモの残さで越冬して翌年の一次伝染源となるため、サツマイモ残さはほ場外へ持ち出し適切に処分する。

防除対策は次のとおり。
○購入した苗は、消毒されていることを確認する。未消毒の場合は、この病に適用のある農薬で消毒する。
○採苗する場合は、腐敗や傷のない健全な種いもを使用し、採苗当日に必ず苗消毒を行う。採苗時のハサミはこまめに消毒する。
○排水が不十分な場所で発病しやすいため、ほ場内の排水対策を実施する。
○植付前には、適用のある農薬を用いてほ場の土壌消毒を実施する。
○発病株(茎葉や塊根)は速やかに抜き取り、ほ場やその周辺に残さないよう適切に処分する。 ○発病株の除去後は、周辺株への感染を防止するため、この病に適用のある農薬の散布を実施する。
○この病が発生したほ場では、次作のサツマイモ栽培を避け、ヒルガオ科以外の作物で輪作する。 ○発生ほ場で使用した資材などは、消毒・洗浄を徹底する。

なお、この病に対する詳細な防除対策については、生研支援センターイノベーション創出強化研究推進事業(01020C)令和2年度版マニュアル「サツマイモ基腐病の発生生態と防除対策」を参照する。

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