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半農半X JAも支援し農村活性化を-中山間地域フォーラムが15周年2021年7月29日

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中山間地域の持続と再生をめざし地域支援のあり方などの研究と政策提言をしているNPO法人中山間地域フォーラム(会長:生源寺眞一福島大学食農学類学類長)は今年設立15周年を迎え、7月には「新たな農村政策を問う」をテーマにシンポジウムを開いた。議論では地域に根ざしたネットワークを持つJAの積極的な役割発揮も期待された。

水田

シンポジウムでは、農村地域への移住者支援や、住民の地域活性化に向けた活動組織づくりなどの事例をもとに新たな農村政策の課題を議論した。
新潟県小千谷市など中越地域の農村集落への外部人材のコーディネートなどを行っている、にいがたイナカレッジの阿部巧事務局長が移住者と受け入れ地域それぞれの課題を報告した。

イナカレッジは大学生らの農村滞在などのプログラムを準備し農村への移住希望者をサポートしている。2019年までの7年間で農家の収穫の手伝いなど短期研修した人は100人、1カ月以上滞在した長期研修者は30名以上いるという。

集落に定住した人のライフスタイルはさまざま。夫婦で専業農家をめざし、冬季は除雪作業の受託で収入を得ているIターン者、農業法人と味噌加工場などで生計を得るほか整体師の仕事もする人、ライター業を本業として地域交流の核となり活動に力を入れている人、きのこ生産を地域で復活させ狩猟も行う人、などを阿部氏は紹介した。

いずれも「すべてのベースは農村で暮らしたい」であり、必ずしも農業を志しているわけではない。「暮らしのなかに農がある」ライフスタイルを追求している。

地域住民の受け止めは、専業を志す農家はもちろん、兼業でも「地域の水田の守り手」として理解され期待を高めている。また地域住民がやらなくなったきのこ生産を「継業」してくれる存在が登場したことなどは頼りにされているという。

一方、いわゆる「半農半X」をめざす移住者と地域との関わりには課題があると指摘した。なによりも農業自体に未熟ななか「そこにXをつくるのは過酷。農業もXも中途半端になりがち。心豊かな貧乏人が、単なる貧乏人になってしまいかねない」と地域でどう収入を得るか、やはり課題だという。

そのためには農業が軸となる必要もあるが、阿部氏は移住者が農業を学ぶ場が農村には「意外にない」とし、農家の手伝いから自営農業の実践をめざす就農プログラムで支援することや、JAの力にも期待した。農業労働力の不足で大きな課題となっているなかで「どの農家で人が足りないかまで掴んでいるのはJA」であり、それを移住者や就農希望者とつなげていくことを期待した。

また、機械の共同利用、直売所などの販路の利用などでも移住者への支援を呼びかけた。

コメンテーターとして参加したJCAの阿高あや主任研究員は施設や販路、ネットワークのあるJAが関わる必要性、JAのOBによる移住者への農業指導、また地域づくりの拠点として廃止された支所の活用なども提起した。

農業ジャーナリストの榊田みどり氏は、担い手へ農地を8割集積させるという現在の方向を徹底すれば「地域は壊れる」と批判し、新しい農村政策の方向では「地域を支える農業経営体」の視点に転換することが必要だと指摘した。

政策としても基本計画に「半農半X」を明記するなど、地域を支える多様な担い手を位置づける。榊田氏は「JAが半農半Xを育てられないか」と提起、その具体策として複数の仕事を行うマルチワーカーの派遣事業などを行う「特定地域づくり事業協同組合」の農村部とJAによる活用も必要ではないか期待した。

第29回JA全国大会議案では、「組合員との対話運動」による地域農業振興計画の策定も掲げているが、「担い手が不足する地域における新規就農支援」の実践も盛り込んんでいる。具体的にはJA・中央会が、半農半Xも含め多様な農業者の育成に向けて、行政と連携しながら募集から研修、就農と定着までの「新規就農支援パッケージ」を確立するよう取り組みとしている。

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