ウンカ、斑点米カメムシ類に警戒を 農水省-病害虫発生予報6号2021年8月5日
農水省は8月5日、病害虫発生予報第6号を発表した。水稲については、引き続きトビイロウンカの発生が多く、7月にかけて斑点米カメムシ類も多発しており、複数の県から注意報が出されたとしている。
トビイロウンカ(長翅型・オス、写真提供:大阪府環境農林水産部農政室)・ミナミアオカメムシ(写真提供:愛媛県病害虫防除所)
気象庁が発表した向こう1カ月の予報(7月29日付)では、気温は北・東・西日本で高く、降水量は北日本太平洋側と西日本日本海側で平年並か少ないと予想されている。
今後1カ月の主要病害虫では、水稲ではトビイロウンカの発生に注意を呼びかけている。野菜類ではネギのアザミウマ類、樹・茶については、茶の炭そ病の発生が多くなるとして、適切な防除を求めている。
各作物の詳細は以下の通り。
◎水稲
セジロウンカ
東海と中国の一部の地域で多くなると予想。この虫は、梅雨時期に中国大陸から飛来し、本田で増殖して水稲を加害する。本田の見回りの際には株元を注意深く観察し、株元に褐色の点やすじ状の傷(産卵痕)が目立ち、成虫または幼虫の発生が多く見られる場合は、都道府県の発表する発生予察情報等を参考に適期に防除を実施する。
トビイロウンカ
東海、近畿で多く、北九州で発生がやや多いと予想。これまで岐阜、三重、大阪、奈良、長崎県でウンカに対する注意報が発表されており、今後の気象条件の推移によっては、昨年同様の発生拡大が懸念される。引き続き地域の発生状況を把握しながら、タイミングをとらえた適切な防除を実施を呼びかけている
斑点米カメムシ類
北海道、東北、甲信、北陸、東海、近畿、中国及び四国の一部の地域で多くなると予想。北海道、青森、岩手、宮城、山形、石川、長野、岐阜、愛知、山口、愛媛から注意報が発表されている。
この虫は水田周辺の雑草に生息し、出穂期に水田に侵入し穂を加害する。そのため、水田周辺の除草は発生量の抑制に効果的だが、出穂期直前の除草はこの虫の水田への侵入を助長し、被害を増加させるおそれがあるため、出穂期の10日前までに完了させる。
いもち病
東北、北関東、甲信、東海、四国の一部の地域で多くなると予想。岩手、宮城、茨城、埼玉、長野、岐阜、滋賀、徳島、高知県から注意報が発表されており、今後、断続的な降雨がある場合は急激に発生するおそれがある。
水田の観察を行い、この病の発生状況に応じた適期な防除を実施する。なお、一部の薬剤に対し耐性菌が発生しているため、都道府県から発表される発生予察情報などを参考に薬剤を選定する。
縞葉枯病(ヒメトビウンカ)
北海道の一部の地域で多くなると予想される。この病は、ヒメトビウンカによって媒介されるウイルス病で、経卵伝染で次世代もウイルス媒介が継続するため、当該虫を対象とした防除の実施が重要としている。
紋枯病
東海、近畿、四国の一部の地域で多くなると予想。特に昨年、多発したほ場では今年も多発するおそれがあるため注意が必要。この病は高温多湿条件で発生が助長され、病勢は少しずつ進展する。今後の発生状況に注意し、適期に防除を実施する。
◎野菜・花き
大豆
吸実性カメムシ類の発生が、北東北の一部の地域で多くなると予想される。この虫の飛来状況は地域や園地で異なるため、都道府県の発表する発生予察情報などを参考にしつつ、園内の観察をきめ細かく行う。飛来が認められた場合は、飛来初期から防除を実施する。
イチゴ
ハダニ類の発生が南関東、四国、北九州の一部の地域で多くなると予想。園内を注意深く観察し、発生状況に応じた防除を実施する。
この虫は薬剤抵抗性が発達しやすいため、都道府県の発表する発生予察情報等を参考に同一系統薬剤の連用を避けるなど、薬剤を適切に選定する。
ネギ
アザミウマ類の発生が北東北、南関東の一部の地域で多くなると予想。この虫は作物を加害するほか、多くの病原ウイルスを媒介する。
発生密度が高くなってからの防除は困難となるため、ほ場の観察をきめ細かく行い発生初期に防除を行う。また、薬剤抵抗性を獲得しやすいため、的確な薬剤を選定し防除を実施する。
◎作物共通
ハスモンヨトウの発生が、北陸、四国の一部の地域で多くなると予想される。ほ場内の発生状況に注意しながら適期な防除を行う。
◎果樹・茶
ナシ
ハダニ類の発生が北東北、北九州の一部の地域で多くなると予想。園内を注意深く観察し、発生状況に応じて防除を実施する。この虫は薬剤抵抗性を獲得しやすいため、同一系統の農薬の連続使用を避ける。
茶
炭そ病の発生が南関東、東海の一部地域で多くなると予想。前茶期に発生したり病部が感染源となり、降雨で発生が助長される。園内の観察をきめ細かく行い、新芽生育初期から防除を呼びかけている。
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