ナスほ場でトビイロシワアリを初確認 栃木県2021年8月6日
栃木県農業環境指導センターは、露地なすほ場でトビイロシワアリの発生を確認。7月29日に病害虫発生予察特殊報第1号を発令した。
トビイロシワアリ成虫(背面、写真提供:栃木県農業環境指導センター)
7月に県東地域の露地なすほ場(1ほ場)で、一部の株が萎凋または枯死する被害を確認した。被害株の地際部にアリの寄生と食害痕がみられ、採集したアリを農水省横浜植物防疫所に同定依頼した結果、トビイロシワアリと判明した。
トビイロシワアリは株元に土を盛り、地際部の表皮を食害する。地際部に激しい食害を受けた株は、生育不良症状を示す。定植直後などの若い株では萎凋、枯死することもある。茎や花への被害も報告されている。
この種による農作物の被害は、これまでに福岡、千葉、広島、香川、佐賀、長崎、滋賀、山口、群馬、茨城、静岡、埼玉、長野、新潟、東京、石川、神奈川、福島、高知の19都県で発生。主にナス、トマト、キャベツ、ブロッコリー、ハクサイ、カンキツ、バレイショ、アスター、はぼたん等で被害が確認されている。
成虫(働きアリ)の体長は約2.5mm、体色は褐色から黒褐色で触角は21節ある。頭部と胸部表面は縦じわに覆われ、前伸腹節後部背方に一対の歯状突起を有する。腹柄節は2節。
屋久島以北の日本各地に分布し、野外ではごく普通に見られる在来種である。開けた草地の石下や草本植物の株元に営巣する。巣の規模は大きく、1つの巣に多くの女王アリを有する。雑食性で昆虫や植物の種子、甘露や樹液などを摂食する。
防除対策では、現時点でこの種に適用のある農薬はない。深耕、かん水等による巣の破壊やほ場周辺の除草といった物理的、耕種的防除に努める。
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