みどり戦略推進で法制定へ-農水省2021年8月18日
農林水産省はみどりの食料システム戦略の実現に向けて環境負荷低減に向けた取り組みを推進する法制度を創設する。法的な枠組みに基づいて現場での取り組みを助成措置などで支援する。
8月17日の自民党農林関係合同会議に「みどりの食料システム戦略の実現に向けた政策手法」を示した。
みどり戦略は2050年までの農林水産業のCO2ゼロエミッション化や化学農薬の50%削減、化学肥料30%削減、さらに有機農業割合の25%拡大などのKPI(重要業績評価指標)を掲げる。
これらを実現するために既存技術の普及とともに、新技術の開発を進めていく。
耕種農業では土づくり、総合的病害虫管理、栽培暦の見直し、堆肥の広域流通などの既存技術の普及で環境保全の課題に取り組むとともに、スマート農機によるピンポイント施肥、除草ロボット、低リスク農薬の開発を2040年までに進めてその後普及を図る。それによって目標実現をめざす。
しかし、これらKPIに向けた施策を推進していくための枠組みの担保が現在はない。そのため食料システムの関係者(生産者、食品事業者、機械・資材メーカーなど)が一体となって環境負荷低減への取り組みを推進するため法的な枠組みを創設する。法律に基づき税制や投融資、助成措置などを幅広く検討する。
環境負荷低減に取り組む生産者への支援も柱とする。農村で人手不足が深刻化するなかで環境負荷低減に取り組むには省力化技術を低廉な価格で導入することが課題となる。そのために交付金などで後押しする仕組みを作る。
また、スマート農機の作業集約化や、有機農業の団地化、工場などからの廃熱を利用した施設園芸など目に見える地域ぐるみの事業活動を支援する。そのために地方自治体によるモデル地区の創設を後押しする仕組みも作る。
3つ目の柱が「研究開発等に取り組む事業者への支援」。生産性の向上と環境負荷の低減の両立には生産者だけで解決しがたい課題が多い。そのためイノベーションの創出などに取り組む農機・資材メーカー、支援サービス事業体、食品事業体を後押しする仕組みを作る。
2022(令和4)年度概算要求で「みどり戦略」予算は柱の1つ。みどりの食料システム戦略実現技術開発・実証事業を創設する。現場の農業者が活用する技術の持続的改良、脱炭素・環境対応など基盤技術の開発を行う。また、スマート農業技術やペレット堆肥の活用技術の社会実装を加速化させるための実証や、データに基づく土づくり等の環境整備を一体的に推進する。
みどりの食料システム戦略推進交付金も創設する。持続的な食料システムの構築に取り組むモデル的先進地区の創出や、環境にやさしい栽培技術と先端技術を組み合わせた栽培体系への転換などを支援するほか、有機農業の団地化、学校給食での利用、販路拡大などの取り組みもこの交付金で支援する。
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