2022年産米の基本指針 作付け転換4万ha必要-農水省2021年11月19日
農林水産省は11月19日、食糧部会を開き、米の需給見通しについての基本指針案を示した。主食用米の需給関係をより改善するため、2022(令和4)年産の主食用米の適正生産量は675万tとした。2021年産米の生産量は701万t。20万t以上の作付け転換が求められることになる。
11月19日の食糧部会
2021年産の主食用米の作付見込面積は130.3万haで、生産者は過去最大規模の6.3万haの作付け転換を行った。
10月25日現在の予想収穫量は作況101で700.7万tとなっている。かりに作況100であれば696万t。農水省が示した2022年産の主食用適正生産量675万tからすると21万tの削減が求められることになり、面積に換算すると4万haの作付け転換が必要となる。
農水省はこの適正生産量を以下のような需要や在庫見通しから示した。
今年6月末の在庫量は218万tと確定した。主食用の生産量は10月25日現在の予想収穫量をもとに701万とした。これで今年7月から来年6月までの主食用米の供給量は計919万tとなる。
一方、この間の需要は人口の推計値と一人あたりの米消費量から702万tとしたが、さらに農水省は今回、コロナ禍での需要動向を見極めるため、7月から10月までの販売動向調査を行った。
調査は年間取扱い数量4000トン以上の卸238社を対象にした。その結果、7-10月期の販売量は134.1万tで、昨年より0.65%増えていた。これをもとにすると年間で約4万t増加する見込みで人口の推計値から算定した702万tに4万tを加えて、需要量の見通しを「702万t~706万t」と提示した。
その結果、2022年6月末の民間在庫量は213万t~217万tとなる。
さらに2022年7月~23年需要量を算定すると、人口減少をふまえると最近の年間10万t減少のトレンドで692万tとなる。
これをもとに23年6月末の民間在庫量を農水省が適正在庫とする200万t水準にするには、2022年産の主食用米の適正生産量は675万tとなる。
2021年産の主食用作付け転換面積の6.3万haのうち、4.5万haが飼料用米で作付け後に主食用から仕向け先を変更したものも多い。来年産ではさらに4万haの作付け転換にどう取り組むかが大きな課題となる。
また、需給環境の改善には2021年産米の長期保管による販売なども課題になる。
農水省は主食用米需要が減少を続けるなか、麦・大豆のほか、高収益が見込める作物など定着性の高いものへの転換が必要だとし、そのため作付け転換を支援する交付金などの見直しを検討する。
2021年産では作付けが終了した6月ごろにさらなる用途変更、深堀りが求められたと産地からはとまどいの声も聞かれた。対策を早急に示す必要がある。
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