乳製品の在庫が課題-22年度畜・酪農対策 農水省2021年12月8日
2022年度の畜産・酪農対策の決定に向けて農水省は12月7日、畜産・酪農をめぐる情勢を自民党の畜産・酪農対策委員会で説明するなど、議論を開始した。畜産物の政策価格や関連対策は12月下旬に決定する。
生乳の生産量は平成28年以降、頭数の減少などで減少傾向が続いてきたが、令和元年度に頭数が増え生産量は増加に転じた。
令和2年度は北海道の生産量が416万tで+1.6%、都府県が327万tで+0.1%で全体で+1.0%の743万tだった。
令和3年度は4-10月で生産量は447万tで前年度比+2.6%となっている。
一方、4-10月間の用途別処理量は牛乳等向けは前年度比▲1.0%、乳製品向けは+7.1%の増加となっている。
また、牛乳等の生産量は飲用牛乳等は前年度並みだが、乳飲料は▲5.5%、はっ酵乳は▲2.3%となっている。
令和2年度はコロナ禍が生乳需給に大きな影響を与えた。感染拡大にともない学校休校や緊急事態宣言による業務用需要が減少し、生乳を保存の利く脱脂粉乳・バターに仕向けてきたことから、消費量に対して生産量が大幅に増えて在庫が積み上がった。
令和3年度の引き続きコロナ禍の影響で減少した業務用需要が回復していないことから、在庫量はバターが前年比2600t増の4.1万t、脱脂粉乳が同9700t増の9万tとなっている。過去最大の在庫量は脱脂粉乳9.3万t、バター5.3万tで現在はいずれもそれに継ぐ在庫の積み上がりとなっている。
自民党の委員会では宮崎、鹿児島の生産者、JA代表者らとの現地意見交換会の内容が報告された。
生乳流通関係の意見では、バターや脱脂粉乳の在庫が過剰となっていることから「ODAを活用した脱脂粉乳の提供による在庫解消策を」との意見があったほか、生乳制度改革について「二股出荷は農協組織の弱体化、需給の不安定化、集送乳コストの経営不安定化につながる。対応の検討を」などの意見があった。
そのほか、飼料価格の高騰に対して国内での原料生産と、配合飼料価格安定制度の十分な財源確保を求める声も出ている。
また、加工原料乳補給金単価と交付対象数量などについては「経営意欲、担い手意欲を促す価格や水準となるよう決定してほしい」との声があった。
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