「氷見稲積梅」「阿久津曲がりねぎ」など3品がGI取得 農水省2022年2月4日
農林水産省は2月3日、富山県氷見市の「氷見稲積梅」、福島県郡山市の「阿久津曲がりねぎ」と岩手県陸前高田市広田湾の「広田湾産イシカゲ貝」を、新たにGI(地理的表示)登録の取得を発表。合計で114品目となった。
地理的表示(GI)保護制度は、地域で長年育まれた特別な生産方法によって、高い品質や評価を獲得している農林水産物・食品の名称を品質の基準とともに国に登録し、知的財産として保護するもの。
「氷見稲積梅」は、1949年に富山県氷見市稲積地区で発見された「稲積」品種の梅。短楕円の球状で果頂部は少し尖り、大きさは中玉で18~25グラムが全体の約半分を占め、果皮色は淡緑色で毛茸が多い。主な実梅57品種の平均核重率(核重/果実重)が9.7%であるのに対し、「氷見稲積梅」の核重率は8.3%と小さく、果肉が厚くなるため、可食部の比率が高い。主な加工品である梅干しに加工した際も肉厚の梅干しとなる。また、果皮が厚いため加工処理中に裂皮しにくく、加工適性に優れている。「氷見稲積梅」は、実需者から、種子が小さく、果肉が厚く、梅干しに加工しても着色が良く仕上がり、ほどよい酸味となると評価されている。
「阿久津曲がりねぎ」は、軟白部が甘く、柔らかく、旨味が強い郡山市を代表する伝統野菜。市販品からランダム抽出した他県産のねぎと比べて、旨味系アミノ酸(グルタミン酸、アスパラギン酸)が約1.8倍、糖度も約1.7倍多く含まれている。この特性は、生産地で明治時代から代々自家採種されてきた在来種の「阿久津ねぎ」の種子を使い、夏場に斜めに植え替える「やとい」という作業によりもたらされる。伝統野菜として郡山市民に古くから親しまれてきた点が評価され、2008年に「郡山ブランド認証産品」の認証を受けている。また、毎年、全国のねぎ産地が集ってPR販売を行う「全国ネギサミット」では、柔らかくて甘く、おいしいと消費者から好評。生産量が少ないため首都圏等の中央卸売市場にはほとんど出荷していないが、地元郡山地方総合卸売市場では、他の郡山産ねぎに比べて3割ほど高値で取引されている。
一方、「広田湾産イシカゲ貝」は、広田湾で採苗・養殖した、弾力があり、甘みと旨味が特徴のエゾイシカゲガイ。外観は、殻表の色合いは濃い赤茶色で、形はふっくらとしており、殻の中の軟体部のほとんどを占めるクリーム色の足の部分を食べる。栄養素では、遊離アミノ酸の割合が高い。2020年現在、エゾイシカゲガイの養殖を産業レベルで行っているのは広田湾のみで、自然環境を活かした養殖技術は、独自に研究開発された。 「広田湾産イシカゲ貝」は、卸売市場関係者から、「鮮度が良く、特有の甘みがあり、希少価値が高く、都内の高級料亭や寿司店で欠かせない商品」と高く評価され、1キロ2000円を上回る高値で取引されている。
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