【みどり戦略 技術カタログ 水稲編(2)】病害虫抵抗性、高温耐性をもつ新品種2022年2月8日
「みどりの食料システム戦略」技術カタログ(農水省ホームページ掲載)では、みどり戦略が掲げた温室効果ガス削減など各目標の達成に貢献する技術を167件紹介している。
カタログはこの10年程度に開発された技術で、みどり戦略が掲げる目標達成に貢献するものとして普及が期待される技術をまとめた。
水稲編で取り上げられている37の技術のうち品種を紹介する。
飼料用米の新品種「そらゆたか」は、いもち病抵抗性を持つ。耐冷性もあり、穂ばらみ期の耐冷性が強く、葉いもちに強い。出穂期は早く、直播栽培もできる。
大地の星にくらべて、そらゆたかは直播栽培で12%収量が多い。北海道の水稲作付地域全域で栽培が可能で、2019年産では1342haの作付け実績がある。飼料用米の安定生産と所得向上が期待できる。粗収益と均衡する10a590kg以上の多収栽培に努める必要があるという。
低コスト栽培できる業務用向けの品種として「しふくのみのり」が掲載されている。高温下でも白未熟粒率が低く、高温登熟耐生が「萌えみのり」よりかなり強く、「みねはるか」並みのやや強と評価されている。
いもち病、縞葉枯病に強く農薬使用量を低減できる。また、耐倒伏性は「夢あおば」並みとかなり強く、倒伏軽減材は不要で直播栽培による低コスト生産につながる。ただ、いもち病には強いが罹患の可能性は皆無ではないため発生予察と適切な防除は必要になる。
「秋はるか」は西日本で問題となっている害虫のトビイロウンカに対して「にこまる」よりも強いのが特徴で、いもち病、縞葉枯病にも強く、農薬削減が期待できる。
高温で実っても玄米の概観は「ヒノヒカリ」より明らかに優れていると評価。炊飯すると粘りはヒノヒカリほど強くはなく、外食・中食としての利用が期待できる。佐賀、鹿児島、栃木で2020年に約5ha作付け。東海以西の地域が栽培適地とされている。
「彩のきずな」は、水稲の高温障害対策や減農薬栽培への対応のために育成された。埼玉県で栽培されており2020年には6300haを作付け。水稲作付面積の19.7%となった。
1等比率が他の埼玉県産品種とくらべ17ポイント上昇した。イネ縞葉枯病、穂いもち、ツマグロヨコバイに対して病害虫複合抵抗性を持つ。都市近郊農業に対応した減農薬栽培の促進に貢献できる。また、収量性は高く、食味も日本穀物検定協会が実施する食味ランキングで「特A」を獲得している。所得向上にもつながる。
(関連記事)
みどり戦略で技術カタログを公開-農水省
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(139)-改正食料・農業・農村基本法(25)-2025年4月26日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(56)【防除学習帖】第295回2025年4月26日
-
農薬の正しい使い方(29)【今さら聞けない営農情報】第295回2025年4月26日
-
1人当たり精米消費、3月は微減 家庭内消費堅調も「中食」減少 米穀機構2025年4月25日
-
【JA人事】JAサロマ(北海道)櫛部文治組合長を再任(4月18日)2025年4月25日
-
静岡県菊川市でビオトープ「クミカ レフュジア菊川」の落成式開く 里山再生で希少動植物の"待避地"へ クミアイ化学工業2025年4月25日
-
25年産コシヒカリ 概算金で最低保証「2.2万円」 JA福井県2025年4月25日
-
(432)認証制度のとらえ方【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年4月25日
-
【'25新組合長に聞く】JA新ひたち野(茨城) 矢口博之氏(4/19就任) 「小美玉の恵み」ブランドに2025年4月25日
-
水稲栽培で鶏ふん堆肥を有効活用 4年前を迎えた広島大学との共同研究 JA全農ひろしま2025年4月25日
-
長野県産食材にこだわった焼肉店「和牛焼肉信州そだち」新規オープン JA全農2025年4月25日
-
【JA人事】JA中札内村(北海道)島次良己組合長を再任(4月10日)2025年4月25日
-
【JA人事】JA摩周湖(北海道)川口覚組合長を再任(4月24日)2025年4月25日
-
第41回「JA共済マルシェ」を開催 全国各地の旬の農産物・加工品が大集合、「農福連携」応援も JA共済連2025年4月25日
-
【JA人事】JAようてい(北海道)金子辰四郎組合長を新任(4月11日)2025年4月25日
-
宇城市の子どもたちへ地元農産物を贈呈 JA熊本うき園芸部会が学校給食に提供2025年4月25日
-
静岡の茶産業拡大へ 抹茶栽培農地における営農型太陽光発電所を共同開発 JA三井リース2025年4月25日
-
静岡・三島で町ぐるみの「きのこマルシェ」長谷川きのこ園で開催 JAふじ伊豆2025年4月25日
-
システム障害が暫定復旧 農林中金2025年4月25日
-
神奈川県のスタートアップAgnaviへ出資 AgVenture Lab2025年4月25日