ロシアの侵略を非難 G7臨時農相会合が声明2022年3月14日
ウクライナ情勢が世界の食料安全保障に及ぼす影響を議論するため3月11日にG7臨時農相会合が開かれ金子原二郎農相が出席した。
会合には議長国のドイツがウクライナを招待した。
冒頭、同国のレシュチェンコ農相は「港湾を失い農作物を輸出できない状況。作付けを行うためには35万tのディーゼルオイルが必要だが、軍隊が使用しているために新しい作付けができない。この時期は小麦を新たに作付けする時期。本来であれば数週間に以内に作付けする必要があるが難しい」などと述べた。
また、ウクライナは農業がGDPの25%を占めるため「農業がなければウクライナの将来はない」、「安定した食料供給のためにもこの戦争は停止すべきである。ヨーロッパの一員として協力を求める」、「農業者は常に圧力を受けており、多くの農業者が命やすべてを失っている。現在も南部を中心に農業インフラが破壊されており、飢餓を避けるためにも中央部、西部で農業を開始する必要がある」などと話した。
各国の農相はロシアの侵略を非難し、金子農相は「ロシアによるウクライナ侵略は深刻な国際法違反、重大な国連憲章違反であり強く非難する。ウクライナからの穀物の輸出停滞で、すでに高水準にある食料価格がさらに上昇し、国際食料市場の混乱が加速する恐れがある」などと発言し、さらなる危機を回避するため「G7農業大臣の連携が不可欠」と強調した。また、現在の危機的状況の根本的解決に必要なのは「ロシア軍のウクライナからの即時撤退である」と話した。
会合ではロシアによる侵略を非難するとともに食料危機を回避するためにG7が協力して対応していく決意を示した「ロシア連邦軍によるウクライナ侵攻に関するG7農業大臣声明」が採択された。
声明では「ロシア連邦による大規模な侵略に驚愕しこれを非難する」とともに、ウクライナとの連帯を表明。ウクライナの食料生産を支援するとともに、影響を受ける地域の食料安全保障を確立するよう「国際機関に求める」とした。またロシアの侵略戦争が食料安全保障に影響を与え、途上国などもともと脆弱な国々・人々の食料や栄養に、追い討ちをかけるようさらに影響を与えていることに懸念を表明した。また、ウクライナ国内で農業インフラが攻撃対象となっていることに「大いなる危機感を募らせている」と批判した。
そのうえで声明は「すべての国に対して、食料・農業市場を開かれた状態に保ち、輸出に関するいかなる不当な制限措置をも阻止することを求める」と輸出規制措置の禁止や、投機的な行為での人為的な価格高騰を許さず立ち向かうとした。
G7農業大臣会合は前回は2027年にイタリアで開かれた。今年は議長国ドイツが5月中旬の開催を予定していたが、ロシアのウクライナ侵攻で急遽開催した。農水省による過去10年程度の間にG7の臨時農相会合が開かれたことはない。ただ、コロナのパンデミックで2020年にはG20農相会合が臨時で開かれた。
5月に開催されるG7農相会合でも引き続きウクライナ情勢をふまえた会合となると考えられている。
重要な記事
最新の記事
-
備蓄米 「味に差なく、おいしく食べてほしい」 江藤農相2025年4月24日
-
関税発動で牛肉の注文キャンセルも 米国関税の影響を農水省が分析2025年4月24日
-
トランプ関税で米国への切り花の輸出はどうなる?【花づくりの現場から 宇田明】第58回2025年4月24日
-
【JA人事】JA北オホーツク(北海道)吉田組合長を再任2025年4月24日
-
三島とうもろこしや旬の地場野菜が勢ぞろい「坂ものてっぺんマルシェ」開催 JAふじ伊豆2025年4月24日
-
農林中金 ロンコ・インベストメント・マネジメントに資本参画 不動産分野の連携強化2025年4月24日
-
積雪地帯における「麦類」生育時期 推定を可能に 農研機構2025年4月24日
-
日本曹達 微生物農薬「マスタピース水和剤」新たな効果とメカニズムを発見 農研機構2025年4月24日
-
棚田の魅力が1枚に「棚田カード」第5弾を発行 農水省2025年4月24日
-
みずほ銀行と食農領域の持続可能な発展に向け戦略的提携 クボタ2025年4月24日
-
【人事異動】兼松(6月1日付)2025年4月24日
-
日本生協連「フェアトレード・ワークプレイス」に登録2025年4月24日
-
旭松食品「高野豆腐を国外へ広める活動」近畿農政局 食の「わ」プログラムで表彰2025年4月24日
-
群馬県渋川市の上州・村の駅「お野菜大放出祭」26日から 9種の詰め放題系イベント開催2025年4月24日
-
JA蒲郡市と市内の飲食店がタッグ 蒲郡みかんプロジェクト「みかん食堂」始動2025年4月24日
-
適用拡大情報 殺菌剤「バスアミド微粒剤」 日本曹達2025年4月24日
-
倍率8倍の人気企画「畑でレストラン2025」申込み開始 コープさっぽろ2025年4月24日
-
農業・食品産業技術開発の羅針盤「農研機構NARO開発戦略センターフォーラム」開催2025年4月24日
-
雪印メグミルク、北海道銀行と連携「家畜の排せつ物由来」J-クレジット創出へ酪農プロジェクト開始 Green Carbon2025年4月24日
-
山椒の「産地形成プロジェクト」本格始動 ハウス食品など4者2025年4月24日