農地の所有権移転を促進へ 農山漁村活性化法を改正 農水省2022年3月15日
政府は農山漁村活性化法の改正法案を閣議決定し国会に提出した。「地域計画」策定の際に、地域のなかで保全や林地化を進める区域として整理された土地の保全事業を農山漁村活性化計画として位置づけることができるように改正する。
同法では都道府県や市町村が作成する活性化計画のなかに、生産基盤や施設、生活環境施設や地域間交流拠点などの施設の整備事業を記載することになっている。
今回はこの対象事業として、放牧や林地化など農用地の保全に関する事業を新たに記載できるよう改正する。
農林水産省は有識者らの委員会での議論を通じて今後の農村政策の方向として、人口減少と高齢化が進む農村を活性するには、農地として維持することが困難な土地については、地域内の話し合いをもとに土地利用を考えていく方向を打ち出した。具体的には放牧や、鳥獣緩衝帯にしたり、または林地化を図るなどだ。
こうした農地に利用法を施設整備と同じように活性化計画に位置づけることができるようにする。景観作物を植えたり、棚田を残しつつ、その横に農泊施設を設置するなど利用法を計画することが可能となる。
また、活性化事業について現行の交付金による支援に加え、法改正で農地転用に関わる手続きの迅速化も図る。
さらに地権者が複数の場合など、農用地の保全事業に必要な所有権移転などが複雑になることも懸念されるため、所有権や貸借権など権利関係を一括整理できるようにする。
活性化計画の策定と実施のために必要な協議を行うため、都道府県と市町村は農林漁業団体、有識者からなる協議会を組織できることも定める。また、都道府県と市町村は、農用地の保全に取り組む農林漁業団体の法人化の推進に努めることも盛り込まれる。
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