生乳の出荷先 指定団体が92% 農水省調査2022年3月15日
農林水産省は3月14日、内閣府の規制改革推進会議の会合に「生乳取引実態全国調査」の結果を示した。
規制推進会議の地域産業活性化ワーキンググループは、生乳流通制度改革のフォローアップとして農水省からヒアリングを行った。
昨年6月に閣議決定された令和3年規制改革実施計画では全国的に生乳取引に関する実態調査を行うこととしていた。
背景には生乳流通の制度的な独占は法改正で解除されたが、「依然として指定生乳生産者団体による実質的な独占が継続されている」との同会議の答申がある。
調査は昨年8月~10月。回答した酪農家は約6100戸で回答率は45%だった。
制度改正以降、生乳の出荷先の変更を検討した酪農家は5%、実際に出荷先を変更したのは1%だった。
89%に当たる5139件の酪農家は「変えたことはない」「変えようと思ったこともない」と回答した。その理由について「指定団体のほうが良いと考えたため」、「指定団体の需給調整を重視したため」との回答が多かったが、「農協を通じた出荷は全量出荷する条件が提示されたため」など独占禁止法と農協法といった法令上問題となり得る行為を受けたとの回答もあった。
そのため個別に聞き取り調査を行ったところ、一部には農協事業の利用強制との指摘を受ける可能性のある行為と考えられるものもあったが、全量出荷義務などを実際に示されたことなどは確認されなかった。
農水省は今回の聞き取りは一方だけの調査であるため、実際に法令違反かどうかを問う調査ではないとしている。今後関係者への対応を検討する際の課題とする。
また、農水省が作成した「指定事業者が生乳取引を拒否できるルール違反の事例集」についての調査では、事例集を見てない酪農家が7割であり、見た酪農家からは「当たり前のことが書かれている」43%、「取引先は自由に選べるが、契約のルールは守る必要があると感じた」56%という結果だった。
また、この事例集を見た酪農家のうち出荷先を変えていないが変えようと思った者は6%、事例集を見ていない者では「変えようと思った」が5%であり、農水省は「事例集と酪農家の出荷先の選択には明確な関連性は認められない」としている。
規制改革会議のWG委員からは全国調査への農水省の真摯な対応を評価する一方、酪農家が萎縮することなく自由に出荷できるように指定団体やJAは環境整備をすべきだとの指摘も出た。
そのほか、「なぜ法令違反が発生するのか、さらに分析を」「今後もフォローアップすべき」などの意見も出た。農水省は生乳の適正取引推進ガイドラインを年度末までに作成して現場に周知する方針。規制改革推進会議の事務局に2週間をめどに対応を報告するとしてる。
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