福島県産品価格 米、牛肉など依然回復せず2022年3月25日
農林水産省は3月25日、福島県産品の価格などの調査結果を公表した。価格は回復傾向にあるものの、震災前の水準に回復していない品目もみられる。
震災前にくらべると、米、牛肉、桃、ピーマンなど重点6品目の出荷量は8割程度で震災前の水準まで回復していない。
価格は震災直後に全国平均を下回る価格となった。その後、価格差は徐々に縮小しているものの、牛肉や桃などでは全国平均より1割ほど低いまま。
農水省は価格が回復していない品目が残っており、引き続き販売不振の解消に向けた取り組みが必要だとしている。
納入業者と納入先の認識に差についても調査している。
平成30年調査にくらべて卸売業者が小売や外食業者に対して感じている福島県産品への後ろ向きの取扱い姿勢は改善した。たとえば小売業者に対する卸売業者の評価は、平成30年が2.8だったが令和3年で3.3となった。数値が高いほど前向きの評価となる。ただ、一部、加工業者から見た小売、外食業者の評価は逆に取扱いに後ろ向きの評価が高まった。
令和3年度調査では、マーケティングに基づく販売回復、促進などの取り組みも行った。
事前の消費者調査では、牛肉については高級感やブランド力、あんぽ柿については高齢層以外の認知度が低いことが示された。
そこで牛肉についてはコンテストなど共励会などの受賞歴を記載した「機能系訴求」と、福島の自然を景色で訴える「情緒系訴求」の2種類の販促資材を活用した。
2つの訴求の仕方を調査で比較すると、「高級感」を訴えるには「機能系訴求」のほうが優れていることが示された。
あんぽ柿については特徴や伝統などを動画にしたり、朝食に自然の甘さのアクセント、など食イメージを喚起する動画を発信した。それによって50代以下の世代にあんぽ柿の認知を高めることができたという。農水省は販売不振の解消を図るには、対象品目ごとに課題を整理し、仮説を立てて販売促進策に取り組む必要があるとしている。
また、水産物については流通業者の多くが福島県産水産物の漁獲量の増加を望んでいることが明らかとなった。価格については流通量よりも季節性が関係しており、「福島県産だからたくさん買うということもないし、買い控えるということもない。どこの産地も平等に取り扱っている」と小売業者の回答を紹介している。
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