【飼料用米シンポ】飼料用米の「本作化」へ 法制化を-振興協会が提言2022年3月28日
(一社)日本飼料用振興協会は3月18日に開いたシンポジウム2022で事例報告や有識者の講演などを受けて政策提言を行った。
同会の加藤好一副理事長は、東大の谷口信和名誉教授が特別講演でアジアモンスーン地域の持続的な食料システムを考えるときに水田の役割を明確にすべきとの提起したことを受けて「飼料用米の重要な役割を積極的に位置づける提起であり、飼料用の本作化」をすすめるべきだと強調した。
また、信岡誠治理事が飼料用米の課題解決に向けて提言を発表した。
第1の課題は飼料用米に対する交付金の継続。信岡氏は生産調整政策の実質廃止で「転作」という言葉がなくなったことから、他の転作作物も含めて政策上は「本作」として扱われることになり、転作の奨励措置としての予算措置の根拠が弱くなっていることを懸念する。
そのため水田フル活用政策を法制化すべきだと主張する。制度設計にあたっての要は▽飼料用米はわが国食料安全保障の最大の要、▽飼料用米は水田を水田として次世代へ継承していく要、▽水田と畜産を結びつけた循環型農業の要であること、だと強調する。
第2の課題は飼料用米の保管と流通コスト問題。現場では飼料用米の保管場所が不足しているという問題が発生している。また、JAなどでの保管・流通コストは食用米とプール計算が行われ、農家の飼料用米の手取り価格が実質ゼロやマイナスという不満も生じているという。
こうしたことから、保管設備への投資も必要だが、飼料用米を配合飼料メーカーが立地する太平洋側に運び込むのではなく、畜産現場で保管、配合するなど地産地消型を原則とする政策支援への転換が必要だとする。
第3は飼料用米生産コストの大幅な削減。そのためには飼料用米の単収向上が最大の要。専用品種の導入促進が不可欠で、民間や団体が種子増殖を行い普及できるような支援策の拡充が必要だという。
また、多収を実現するにはたい肥投入が必要で散布機械の導入やコントラクターの散布作業への支援策の強化も求めている。
同会ではこうした提言活動を続けるとともに、各地の経験の交流や先進事例の紹介など情報発信を続けていくとしている。
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