地域圏フードシステムの強化を-新山京大名誉教授が提起 自民党食料安保検討委員会2022年4月7日
自民党の食料安全保障に関する検討委員会は4月7日に有識者ヒアリングを行った。そのなかで新山陽子京都大学名誉教授が「食料政策と地域圏フードシステム 強化の必要」を問題提起した。

新山教授は、フードシステムについて、人の命、健康を支える財である食料を供給する仕組みであり、食料の十分な供給に対して公正な対価が支払われることで成り立つ公共政策であると指摘する。
食料自給率の向上には基幹農業者の激減を防ぐことが重要で、若手が就農できる農業所得の向上が必要だが、日本では平均コストを償う公正価格から逸脱し、家族労働報酬さえ確保できない状況にある。市場の価格交渉力がアンバランスで大手量販店の安売りとともに、消費者にも安いことを賞賛する風潮があることも問題に挙げた。
新山教授によるとフランスでは生産コストの情報や価格情報について専門組織が観測し公正価格を算定する取り組みが行われていることを紹介するとともに、日本では支払い能力がない人も多いなどそもそも賃金が低いという問題も指摘した。こうした問題も含めてフードシステムへの総合的・社会的な視点が必要と強調する。
世界人権宣言では食料安全保障は「十分かつ適切な食料への一人一人の権利」とされていることや、それをふまえて地域圏内で良質で多様な食料を安定的に供給できるシステムを作り、小規模でも多様な農業者の生産を守り、同時に経済弱者の食を支えるという取り組みが進んでいるという。
フランスの食料計画では地域圏フードシステムが掲げられ、生産者、加工業者、流通業者、消費者、行政を緊密に結びける「地域圏食料プロジェクト」(PAT)が実施されていることを紹介した。全土で197のPATがあり、地域圏人口は約3120万人で全人口の約47%にという。
一方、日本の「基本法」と「基本計画」には、本来の食料政策がなく、「人々にとっての」食料政策と食料計画を明確にすることが必要だと強調し、自治体による地域圏フードシステムの構築の必要性を強調した。
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