農地の受け手 どう確保 若手育成課題-安藤東大教授が提起 自民党食料安保検討委員会2022年4月7日
自民党の食料安全保障に関する検討委員会は4月7日に有識者ヒアリングを行った。そのなかで安藤光義東京大学教授が「政策体系における農村政策の位置と農業構造」をテーマに問題提起した。

安藤教授は、現行基本法の理念は、「農業の持続的な発展」によって、「食料の安定供給の確保」と「多面的機能の十分な発揮」につながるとされているが、「実際はそうはならない」ことを指摘した。
とくに中山間地域では、生計を成り立たせる園芸や畜産など集約的経営で、それは稲作からの脱却であり、多面的機能の喪失につながる。また、農業以外の産業振興による農村での雇用創出は農業からの脱却となる。
こうした矛盾をはらんだ実態のなかで、集落営農組織による農業振興と中山間地域直接支払い制度によって農村が維持されてきた。米の生産調整政策も集落での話し合いを機能させ、集落のまとまりと食料の安定供給の確保につながった。
しかし、集落営農の法人化が進んでも現状は後継者不足で厳しい状況にある。こうしたなか農業生産だけでなく、集落の生活の維持などの事業も領域とする農村RMO(地域マネジメント組織)で地域を支えようという新しい農村政策の方向を農水省は打ち出した。
ただし、安藤教授はこうした農村RMOが農業の持続的発展を担えるかには疑問を示し、むしろ「問われているのは、農村に暮らす人たちに求められている農村政策とは何か」ではないかと提起した。つまり、農村政策に問われているのは、農地保全から農村社会へのシフトの推進ではないかという。
一方、日本農業の実態としては2020年センサスの分析から、大規模経営への農地集積は進んでおりペースは加速していると指摘した。30ha以上への面積集積率は2005年では北海道62%、都府県4%だったが、2020年には北海道75%、都府県18%となった。
ただし、都府県では経営耕地面積が減少しており、2005年を100とすると2020年は84と減少した。
これからの課題は、後継者は不在という経営体が多いなか、地域で出てくる農地を残った経営体がどう引き受けていくか。経営耕地の面的な集約化で1人当たり面積を増やすことや、大規模経営で後継者がいない場合は、第三者継承も検討していく必要があることなどを安藤教授は提起。
また、若い農業者ほど経営革新に積極的で、農業経営の新陳代謝促進の必要性と、青壮年層の新規就農者を増やす必要があると話した。
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