堆肥「施用していない」が46% 「秋耕」には6割取り組み 農水省調査2022年4月21日
農林水産省は地球温暖化緩和策に関する初めての意識調査結果を4月20日に公表した。農業者2700余りから回答を得た。
農地が温室効果ガスを排出するとともに、吸収源となっていることについて「知っていた」との回答は35.5%で「知らなかった」が64.5%と6割を超えているのが現状だ。
水稲栽培者を対象に、日本で排出されているメタンのうち水田から出ているメタンが大きな割合を占めることについては「知っていた」が10.9%、「知らなかった」が86.7%だった。
水田から発生するメタンの排出抑制に中干し期間の延長(約3割の削減効果)や、秋耕(稲わらの秋すき込みのことで約5割の削減効果があるとされる)が有効であることを知っているかどうかについては、「知っていた」が30.1%、「知らなかった」が67.3%だった。
そのうえで中干し期間の延長に取り組む意向があるかどうかを聞いたところ「すでに取り組んでいる」が25.9%、「支援がなくても取り組みたい」が28.9%、「何らか支援があれば取り組みたい」が24.6%だった。
求める支援としては「掛かり増し経費の補填」が76.9%ともっとも高かった。一方、取り組みたくない理由は「ほ場が乾きすぎることによる根の障害懸念」38.9%、「作物生育にベストな中干し期間を設定しているため」31.2%、「雑草が増えることが懸念されるため」27.7%など稲の生育上の理由のほか、「水利上の問題から単独で中干し期間を調整することはできないため」と地域の事情を指摘する声も32.3%あった。
一方、秋耕については「すでに取り組んでいる」が59.5%ともっとも高く6割を占めた。秋耕にメタン発生抑制効果があるとの認識は低いものの、農法として定着している地域もあるとみられる。また、「支援がなくても取り組んでみたい」は13.5%、「何らかの支援があれば取り組んでみたい」は12.4%だった。
求める支援については「掛かり増し経費の補填」が85.0%だった。一方、取り組みたくない理由は「労力的余裕がないため」が50.2%ともっとも高かった。次いで「地耐力が低下し春の作業に支障があるため」が25.3%だった。
堆肥や緑肥など有機物の施用に温室効果ガスの吸収効果があることを知っていたかについては「知っていた」20.1%、「知らなかった」76.0%だった。
そのうえで、どの程度の堆肥を施用しているかを聞いたところ「施用していない」が46.1%ともっとも多いことが示された。また「慣行より少ない量を施用」は12.4%だった。
慣行より少ない施用や、施用していない農業者にその理由を聞いた結果は「散布に労力がかかるため」が45.7%ともっとも多く、次いで「施用しなくても安定した収量が確保できるため」40.4%、「堆肥の価格が高いため」が17.4%だった。
緑肥を施用しない理由についても「労力がかかるため」が40.6%ともっとも高かった。
みどり戦略では農業からの温室効果ガスの削減をめざし、有機農業の面積を拡大する目標を立てているが、それには土づくりが重要になる。農林水産省は、堆肥の利用、中干し期間の延長などが温暖化対策につながることの認知度を上げる努力とともに、取り組めない理由に労力的余裕がないことなどがあり、アンケート結果を分析し対策を検討したいとしている。
重要な記事
最新の記事
-
【人事異動】JA全農(2025年1月1日付)2024年11月21日
-
【地域を診る】調査なくして政策なし 統計数字の落とし穴 京都橘大学教授 岡田知弘氏2024年11月21日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】国家戦略の欠如2024年11月21日
-
加藤一二三さんの詰め将棋連載がギネス世界記録に認定 『家の光』に65年62日掲載2024年11月21日
-
地域の活性化で「酪農危機」突破を 全農酪農経営体験発表会2024年11月21日
-
全農いわて 24年産米仮渡金(JA概算金)、追加支払い2000円 「販売環境好転、生産者に還元」2024年11月21日
-
鳥インフル ポーランドからの家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年11月21日
-
鳥インフル カナダからの生きた家きん、家きん肉等の輸入を一時停止 農水省2024年11月21日
-
JAあつぎとJAいちかわが連携協定 都市近郊農協同士 特産物販売や人的交流でタッグ2024年11月21日
-
どぶろくから酒、ビールへ【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第317回2024年11月21日
-
JA三井ストラテジックパートナーズが営業開始 パートナー戦略を加速 JA三井リース2024年11月21日
-
【役員人事】協友アグリ(1月29日付)2024年11月21日
-
畜産から生まれる電気 発電所からリアルタイム配信 パルシステム東京2024年11月21日
-
積寒地でもスニーカーの歩きやすさ 防寒ブーツ「モントレ MB-799」発売 アキレス2024年11月21日
-
滋賀県「女性農業者学びのミニ講座」刈払機の使い方とメンテナンスを伝授 農機具王2024年11月21日
-
オーガニック日本茶を増やす「Ochanowa」有機JAS認証を取得 マイファーム2024年11月21日
-
11月29日「いい肉を当てよう 近江牛ガチャ」初開催 ここ滋賀2024年11月21日
-
「紅まどんな」解禁 愛媛県産かんきつ3品種「紅コレクション」各地でコラボ開始2024年11月21日
-
ベトナム南部における販売協力 トーモク2024年11月21日
-
有機EL発光材料の量産体制構築へ Kyuluxと資本業務提携契約を締結 日本曹達2024年11月21日