土地改良区が4ブロックに分けて通水始める 明治用水頭首工の漏水事故2022年5月30日
愛知県豊田市にある農業用水などを供給する取水施設「明治用水頭首工」で5月17日から大規模な漏水が発生し、農業用水の供給が止まっていた事故で、地元の「明治用水土地改良区」は5月30日、対象エリアを4ブロックに分けて農業用水の通水を始めた。一方、農水省は今回の事故を受けて全国で行った頭首工の緊急点検で異常は確認されなかったと公表した。
今回の大規模漏水事故を受けて、東海農政局は段階的に現場へのポンプの増設を進め、農業用水の供給再開に向けた準備を進めている。その結果、25日から試験通水を開始し、29日午後までに154台のポンプを設置して、毎秒約10tの水を供給しているという。
これを受けて農業用水を管理する明治用水土地改良区は30日から、漏水事故で影響を受けている約4700haの農地を水系ごとに4ブロックに分けて用水の供給の開始を始めた。当面、1日通水3日断水の日程でブロックごとに8日間、通水を実施し、農業用水の確保状況を見てそれ以降の通水計画を検討するという。
一方、農水省は今回の漏水事故を受けて、今月20日から26日にかけて、全国の国営土地改良事業で造成した頭首工379か所について緊急点検を行った結果、「取水位の低下」や「取水量の低下」、「堰下流からの貯留水の湧出」、「堰本体からの漏水」といった異常はいずれも確認されなかったと公表した。1か所については、倒木で進入路が閉鎖されていたため、今後再調査する予定。また、独立行政法人水資源機構が所管する頭首工のうち、農林水産大臣が主務大臣の12施設についても同様の緊急点検を実施し、異常は確認されなかったと公表した。
また、同農政局では、今回の事故で農業用水の供給不足によって農作物の収穫量が減ったり収入が減少が生じたりした場合、農業共済や収入保険の補償対象となるとしてチラシを作成して農家に説明している。
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