JA間連携で労働力確保 産地移動しながら短期間就農 農業白書が紹介2022年5月30日
2021(令和3)年度食料・農業・農村白書では巻頭のトピックスで「半農半Xなど多様な農業への関わり方」を取り上げている。JAの連携に注目した。
新型コロナウイルス感染症のパンデミックによって人が密にならない農村空間の価値が注目され、東京からの転出が増えるといった動きとともに、別の仕事をしながら農業にも携わる「半農半X」や、短期間の就業先として農業を選ぶ多様な農業への関わり方も広がっている。
JAでもそうした動きを捉えた仕組みづくりが進んでおり、北海道のJAふらの、愛媛県のJAにしうわ、沖縄県のJAおきなわは「農業労働力確保産地間連携協議会」を2018(平成30)年に設立した。
この協議会は共同でアルバイトを確保するとりくみで図のように、1~3月はJAおきなわでサトウキビの収穫の仕事をし、4~10月はJAふらので野菜作業で働き、11~12月はJAにしうわでみかんの収穫作業をする。全国からWeb広告で募集した20~30代のアルバイト男女20~30人程度が産地間を繁忙期に合わせて移動して農作業に従事している。
各JAがアルバイト用宿舎を用意、参加したアルバイトからは「次のアルバイト先の紹介があるので助かる」との声が寄せられているという。
また、北海道の十勝管内のJAで構成する「とかちアグリワーク協議会設立準備会」(2019年設立)は、ベンチャー企業のKamakura Industries(株)が開発した一日バイトアプリ「デイワーク」を活用してアルバイトを雇いたい農業者とのマッチングを行ってる。白書によるとアルバイトをする人は副業として利用する社会人がもっとも多く、次いで学生。雇用する農業者からは「当初は一日単位で雇うことに不安だったが、始めてみたらとても真面目に一生懸命に作業してくれとても助かった」との声が寄せられているという。
そのほか、「特定地域づくり事業協同組合」の職員として農業と酒蔵に勤めるIターン者の例や、農業と観光・宿泊業が連携するワーケーションの例なども紹介している。
白書は、雇う側、雇われる側の両方で就農時間や、雇用形態、居住地域に「柔軟に対応することで多様な農業への関わり方がうかがわれる」と指摘する。そのうえで、こうした新たな動きが広がって労働力不足に解消と、将来的な就農につながることを期待する。
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