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『交付対象外なら離農、耕作放棄増える』 「水活」見直しで反発噴出2022年6月3日

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農林水産省は6月2日の自民党農業基本政策検討委員会で水田活用交付金の交付対象水田の見直しについて現場からの意見や要望についても中間とりまとめを公表した。交付対象でなくなれば離農や耕作放棄地が増えると懸念する声が噴出しており、
同党委員会では6月6日の週に現場実態をふまえた対応策について政府に提言を行う。交付対象水田から外れても畑地化対策や条件不利地域対策などでの支援強化を求めるとみられる。参院選を前に方針を示したい考えだ。

水田活用の直接支払交付金の交付対象水田の見直しは、2016(平成28)年に財務省が予算執行調査の結果、米の生産ができない農地や米以外の生産が継続している農地を交付対象外とすべきとし、基準を明確にするよう求めた。

翌年農水省は基準を設定したが、昨年、2022(令和4)年度は畦畔のない農地を対象としないなどのルールを徹底するとともに「現場の課題を検証しつつ、今後5年間(令和4~8)に一度も水張が行われない交付対象水田としない方針」を示した。

1月からの通常国会ではこの見直し方針について議論されたが金子農相は現場の課題を検証するものの、見直し方針自体は変更しない姿勢を示している。

こうしたなか農水省は4月から現場での調査を行い5月末で中間的に意見や課題を整理することにしたもの。今後は7月末まで調査し、この秋に交付対象水田ルールの対応について示すことにしている。

現場からは6年以上の間隔で輪作体系を組んでおり、5年間では水稲の作付けはできないとの意見や、そばや野菜など品目によっては水張をすれば収量や品質の低下を招くとの声もあがっている。

会合に出席した議員からは「そもそも米が余っているというのに、5年に1度は米を作れとはどういうことだ、との声が上がっている。政策目的が説明されていない」との意見が出た。

また、高齢化が進むなかで耕作放棄地が増えないよう、水田活用政策の支援をもとにそばなどを作付けて地域の農地を維持してきたのに、除外されれば「農地の引き受け手がいなくなり耕作放棄地が増える」との意見は多い。中山間地域などからは「条件不利農地を守るための支援を考えてほしい」との声も上がっている。

畑地化をするにしても「支援が不十分で踏み切れない」、子実用トウモロコシも「必要な労働時間が短く、新たな転換作物として検討したいが、畑地化すると支援が受けられない」という問題も指摘された。

牧草では「何十年も牧草を作って来て、今さら水張できない」、「交付対象外となれば牧草の経営が成り立たず、粗飼料の安定供給の継続ができない」と現場の実態を伝えている。

この問題について江藤拓総合農林政策調査会長は6月1日の衆議院予算委員会で岸田首相や金子農相に対して「ルールはルールだが、その結果、食料安全保障を議論しようというときに、耕作放棄地が出たり耕作を止める人が出るのは問題」として、ルールを徹底した後の対策を農水省に求めた。金子農相は党からの提言などがあれば検討する趣旨の答弁をしており、委員会として提言をまとめるとしている。

農水省がまとめた現場からの意見や課題、要望は以下の通り。

【5年間で水張りを行う農地を交付対象水田とすることについての課題】

(1)災害復旧・基盤整備事業
●災害によって用水供給設備等が壊れ、現状では水張りが困難な農地がある。
●基盤整備事業を実施中又は計画中であり、今後5年間では水稲作付けが行えない農地がある。

(2)ブロックローテーション
●そば、大豆、野菜、牧草など品目によっては、水張りが可能な農地であっても収量や品質の低下などブロックローテーションに馴染まないものがある。
●6年以上の間隔で輪作体系を組んでおり、今後5年間では水稲作付けを行う予定がない。
・そばや大豆など連作障害を抑制できている農地でもブロックローテーションが必要なのか。
・湿害に弱いそばを組み入れたブロックローテーションには懸念がある。
・連作障害に強く、5年程度の連作が可能なネギを田に作付けている。
・稲と転換作物とのブロックローテーションを行うと、窒素過多で高タンパクとなり、米の食味が低下する。
・10年程度の大きなスパンで輪作をすることが効果的。

(3)水張りの確認
●水稲以外に「水張り」を行う品目をどう扱うのか。
●水稲作付けではなくとも、別の方法で水張りができれば水田機能があることを示すことができるのではないか。
・水田におけるヒエの栽培は「水張り」に該当しないのか。
・レンコン畑は「水張り」に該当しないのか。
・畦畔や用水路があれば水張りをせずとも交付対象水田として維持できるようにできないか。
・排水対策のために耕盤を壊している場合、水稲を生産できる状態に戻すのは不可能又は時間を要する。
・地下灌漑設備のある農地の扱いはどうなるのか。

(4)その他交付対象水田の扱い
・畑地化した後に耕作者が変わった場合、交付対象水田に戻すことができないか。
・有機JAS認証を得ている農地について、有機以外を作付けした場合には再度認証を得るまで3年間要するため、ブロックローテーションすることが難しい。
・水稲育苗ハウスが建設される農地について、区画整理時に支障を来さないよう特例的に交付対象水田として維持できるようにできないか。

【今回の措置に伴う影響と課題】

①畑地化の取組
●現行の畑地化支援では不十分で、畑地化に踏み切れない。高収益作物の畑地化には手厚い支援があるが、その他の作物への支援は不十分。
・畑地化/交付対象水田から除外されても所得が減少しないよう、水田政策の代替となる新たな支援措置を講じて欲しい。
・畑地化支援について複数年に分けた交付にできないか。
・畑地化支援の交付単価を増額できないか。
・令和6年度以降も畑地化支援の交付金を継続して欲しい。
・子実用とうもろこしは、必要な労働時間が短く、新たな転換作物として検討したいが、畑地化すると支援が受けられない。

②牧草関係
●交付金の対象外となれば、牧草の経営が成り立たず、粗飼料の安定供給の継続ができなくなる。
・畑地化して交付対象外となったとしても、飼料生産への支援対策を講じて欲しい。
・何十年も牧草を作って来て、今更水張りできない。

③土地改良関係
●交付対象水田から除外されれば、賦課金(水利費)の支払が困難となり、水利施設の維持管理や土地改良区の運営に影響が出る。
・畑地化して土地改良区の地区から除外した場合、土地改良区に決済金を支払う必要がある。また、決済金は改良区によってバラバラである。
・畑地化が進んでも、水利施設の維持管理に支障が生じないように、また残される水田作の農業者の負担が増えないようにして欲しい。
・畑地化に伴って、受益に見合った土地改良区の水利費や賦課金の見直しを行うことが必要。

●ブロックローテーションや畑地化を進めるには、暗渠排水等の基盤整備事業を進めることが必要。
・水張り面積が増えた場合、用水不足や水路等インフラが対応できるか懸念。
・地域の一部で畑地化された場合、その後の基盤整備に支障が出る。
・不要となった施設が発生した場合、撤去費用が発生する。
・水張りをするために新たな設備や基盤整備が必要であり、費用負担が大きい。

④中山間地域関係
●中山間地域の条件不利農地を守るために耕作していたが、交付金が出なくなれば誰も引き受けず、離農や耕作放棄地が増加する。
・中山間地域など日本の農業の特徴を踏まえた支援をお願いしたい。
・条件不利農地を守るための支援を考えて欲しい。
・畑に転換すると中山間直払の畑の傾斜基準が適用され、交付の対象から外れる。

⑤その他
●交付対象外となり、交付金収入が無くなると、経営が成り立たない。
・交付対象外となれば中山間地域での大豆やそばの生産が困難になる。
・園芸団地などの整備にあたっては交付金も計算に入れて投資をしてきており、対象外になると返済が難しくなる。
・畑地化や大豆生産のためには大型機械の導入が必要であり助成措置・予算確保をお願いしたい。

●交付金が無くなると、農地の集積・集約化が進まなくなる。
・交付対象水田から除外された農地は担い手が引き受けず、離農が進んで農地の引き受け手もいなくなり耕作放棄地が増える。
・交付対象水田から除外されると農地の評価額・資産価値が下がる。
・借手がなく自己保全管理をしており、水稲作付されずに交付対象外となれば耕作放棄地になる。

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