肥料コスト上昇分の7割補てん 新たな支援金の仕組み創設へ 合わせて農業のグリーン化も2022年7月5日
肥料価格の高騰が農家の経営を圧迫する中、政府は7月1日、物価・賃金・生活総合対策本部幹事会を開き、農水省は肥料原料価格の高騰対策の骨子を明らかにした。
肥料価格の高騰を受け、岸田首相は6月21日の第1回物価・賃金・生活総合対策本部で「農産品全般の生産コスト1割削減をめざして、グリーン農業と肥料高騰への大胆な支援を組み合わせた新しい支援金の仕組みを創設し実施する」と発言した。
これを受けて農水省は、化学肥料2割低減の取り組みを行う農業者の肥料コスト上昇分の7割を補てんする仕組みを創設することを明らかにした。
農産物の生産コストのうち肥料費は1~2割を占める。その肥料費は、6月からの秋肥価格で春肥対比でプラス55%の値上げ
となるが、前年比ではプラス70%程度の値上げとなっている。
新たな支援金の仕組みは、化学肥料の使用量の2割削減に取り組んで肥料代を削減したうえで、それでもかさんだ肥料コストの上昇分の7割を補てんするというもの。
制度の詳細は今後検討されるが、農水省は「施肥前に土壌診断を行って必要量を見極めたうえで適正な肥料購入量を決めたり、家畜ふん尿からのたい肥や汚泥肥料などの活用に取り組んでほしい」(農産局技術普及課)と2割削減に向けた取り組みが重要とする。
この対策で肥料高騰にともなうコスト増を抑制すると同時に、みどりの食料システム戦略の2030年目標として6月に設定した「化学肥料2割低減」に向けて先行して取り組む生産者を支援する。これによって農水省は農業のグリーン化をめざす。
また、岸田首相は肥料が高騰した「2008年の対策も参考にする」と表明している。2008年には肥料の購入伝票を提出しそれに対して支援額決める方法と、前年の肥料価格と購入量に対して一定の計算式をもとに支援額を決める方式からの選択制とした。実際には伝票を提出した生産者が多く事務手続きが煩雑で支援までに時間がかかったという問題が指摘されている。
農水省は新たな支援金の制度設計とともに、こうした手続きも含めて参院選後に検討を本格化させる。
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