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協同組合原則の議論を 環境の変化に対応、修正も 生協総研が研究会2022年7月22日

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生協総合研究所(生協総研)は7月15日、公開研究会を開き、協同組合のアイデンティティ(定義・価値・原則)について議論した。現在の協同組合原則ができてから25年を経過し、経済・社会環境も大きく変わった。これに対応し、原則の修正が必要との声も出ており、昨年のICA(国際協同組合同盟)のソウル大会で協議を始めることを決めた。公開研究会はその一環として開いた。

協同組合原則への理解を深めた研究会(オンライン)協同組合原則への理解を深めた研究会(オンライン)

ソウル大会で、アイデンティティに関する協議が提起された背景には、協同組合をめぐる世界的な環境の変化がある。大会で指摘された環境変化は、①技術革新とグローバル化、②若者の不安定な労働形態、格差の拡大③気候変動、コロナ禍による経済の混乱、顕在化したセーフティネットの穴、④先進諸国での高齢化・人口減少、景気停滞の危険性。このほか、女性の社会進出、ダイバーシティ(多様性)の価値観など。

直近ではコロナ禍で貧困や格差が広がり、さらにロシアのウクライナ侵攻が世界の食料・エネルギー供給の不安に加え、物価高は人々の暮らしや仕事に大きな影響を与えつつある。前回大会の1990年代のソビエトロシアの崩壊や、一部の国のバブル経済がはじけるなどの問題はあったが、今日のような大きな変化は見られなかった。

このためICAのソウル大会では、協同組合のアイデンティティを再認識し、人を基本にした協同の力でそれを生かし、よりよい社会づくりに取り組む必要があることを確認した。具体的は,協同組合のアイデンティティを学び、理解するとともに、組織・事業・活動に生かす。併せて必要があれば改定も視野に入れ、ICAのもとに諮問グループを設け、協議することを決めた。

その方針に沿って開いた公開研究では、白石正彦・東京農業大学名誉教授が、協同組合原則の内容と、改訂を重ねた歴史的な経過を報告。同教授は、今日的な課題として国連のSDGs(持続可能な開発目標)との共通性を挙げ、協同組合原則の今日的な意義を強調。さらに協同組合間の提携、教育文化活動などへの取り組みの必要性を指摘した。

同じく、協同組合原則改訂をめぐる議論を紹介した生協総研の鈴木岳研究員は、日本の生協陣営では、①利用高に応じる割り戻し原則、②現金主義、③政治的・宗教的中立原則についての議論を深める必要があると指摘した。その上で、いまやICA加入団体の数が一番多いのは日本であり、「協同組合の定義や範疇など、今一度議論し、論点整理する」時期にさしかかっている」と指摘した。フリートーキングでは、協同組合原則に触れていない協同組合で働く職員の地位と役割についての議論があった。

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