肥料高騰支援 メニュー2つ 2年取り組みを要件 農水省2022年7月26日
農林水産省は7月25日の自民党の農林関係合同会合で肥料価格高騰対策案を示した。支援を受ける要件として土壌診断に基づく施肥設計や、堆肥など国内資源の利用などのメニューから2つ以上の取り組みを実施することを要件とする。
対策の内容は、当年の肥料コストから一定の計算式で前年からの肥料コストの増加分を算出し、その7割を補てんするもの。
申請や事務処理の手続きを簡略化するため、生産者は今年の秋肥と来年の春肥の購入伝票だけを提出すれば済む仕組みとする。JAなど団体では生産部会がまとめて申請することもできるような仕組みにするという。
そのうえで伝票に基づく当年の肥料費に対して、農業物価統計から算出した価格上昇率をもとに肥料コストの増加分を算出し、その7割を補てんする。
ただし、化学肥料の2割以上の低減に2年間で取り組み、コストを低減させることも要件とする。そのため算定にはあらかじめコスト低減率も組み込む。当初、農水省は2割低減を要件とする方針だったが、低減に時間がかかることをふまえて、今年の秋肥と来年の春肥分については10%の低減に設定する。
したがって10%コスト低減分を算定の前提にするため、補てんの対象はそもそもコスト上昇分の90%となり、その7割を支援することになる。そのため会合では「63%の支援にしかならないではないか。この算定式で7割の補てんになるのか」という意見が相次いだ。
農水省は肥料価格高騰対策は「7割支援」を当初から打ち出しており、なお異論が残る。ただ、農水省は「国内資源を利用するという意欲を持ってもらうことが大事だ」として、化学肥料使用の低減は補てんを受ける要件とする考えだ。
一方、その取り組み要件は、すでに化学肥料節減に取り組んできた生産者や地域の実情に即した節減方法などに配慮したメニューを準備する。
農水省が示しているのが、土壌診断に基づく施肥設計、堆肥、複合肥料、下水汚泥など国内資源の利用、施肥量・肥料銘柄の見直し、側条施肥など局所の利用、地域特認技術の利用などで、今後もメニューを検討していく。
これらのメニューから2つ以上のメニューに取り組むことを要件とする。これまでの取り組んでいるメニューであっても、前年より取り組みの拡大や強化を行えば対象となる。
また、農水省は平時の対応として▽堆肥や下水汚泥など利用拡大・広域流通(化学肥料との混合を含む)、▽資源外交をはじめとする調達国の多角化対応、▽原料備蓄制度の創設の考えを示した。
原料を備蓄しておき、調達困難時には備蓄を放出し原料価格上昇の影響緩和を図る。
自民党の会合では、同案について江藤拓総合農林政策調査会長と森山裕食料安全保障に関する検討委員長に一任することを了承した。
肥料価格高騰対策事業は月末に閣議決定される見込みとなっている。
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