米 一定の市場環境改善 米価回復求める声も 食糧部会2022年7月28日
7月27日に開かれた食料・農業・農村政策審議会食糧部会は農水省が示した米の基本指針について諮問どおり答申した。
農水省の都道府県別の作付意向調査では22年産主食用米の作付け面積は、前年比4.3万ha減の見込みとなり、需給改善に必要な作付転換面積3.9万haを上回る見通しとなった。生産量は平年作であれば673万tと指針より2万t減となる見通しも示した。
基本指針では来年6月末の民間在庫量は適正在庫の上限とされる200万tとなる。
JA全中の馬場利彦専務は「作付け転換に尽力してきた結果」と評価。ただ、今後の作柄によっては長期保管を助成する米穀周年供給事業の拡大や、23年産以降も作付け転換を進めるため水田活用の交付金の万全な確保など支援を求めた。
また、資材価格高騰で営農継続も厳しい状況のなか今後、豊作など予期せぬ需給緩和に対しては、政府の影響緩和対策が必要になるとした。
そのほか、食料安保の観点から麦、大豆、飼料作物の生産が必要で水田の畑地化も含めた支援も求められると指摘した。
神明ホールディングスの藤尾益雄社長は、小麦製品の値上がりで、割安感から米の消費にはプラスの面もあるとしながら、生産資材高騰しており「米の値段を上げないと農業は維持できない」と指摘した。
二村睦子日本生協連常務は飼料用米をはじめ、子実用トウモロコシなど「国内の飼料全体を強くする必要がある」と指摘した。
平田勝越山形県農業法人協会会長は水田活用の交付金対象の見直しの議論に関連して「新しい作物の育成にインセンティブを与えることを考えるべき」と提起した。
山崎美穂(有)アグリ山崎国際事業部長は米の輸出について海外で国内産地が棚の奪い合いになるような事態を避け「オールジャパンでの取り組みを」と求めた。
農林水産省は、現状の米の需給について「一定の需給引き締まりが見られ、市場環境は改善の方向に向かっており、価格が大きく下落するような環境にはない」と認識を示し、今後も「需要のある作物を生産するのが政策の基本」と強調した。
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