農林水産で2兆6808億円の予算概算要求 食料安保など重視 「みどり戦略」関連に556億円2022年8月31日
農林水産省は8月31日、2023年度予算概算要求を決定し、財務省に提出した。総額は2兆6808億円で、今年度当初予算より17.7%の増額となった。「みどりの食料システム戦略」関連では、556億円を要求した。
概算要求のうち公共事業費は8213億円で対前年比17.6%増、非公共事業費は1兆8595億円で同17.7%増となっている。公共事業のうち農業農村整備事業関係予算の要望額は3933億円で同18.4%増。
同省は、今回の概算要求について、食料需給をめぐるリスクへの対応とともに、農林水産業の成長産業化と農山漁村の次世代への継承の実現に向けて、「食料安全保障の確立」と「農林水産業の持続可能な成長」を推進するための予算を要求したと説明。「食料安全保障の強化」に向けた経費は事項要求としても提出し、今後の予算編成過程で検討する。
概算要求の重点事項としては、①生産基盤強化と経営所得安定対策の着実な実施②2030年輸出5兆円目標実現に向けた輸出力強化など③「みどりの食料システム戦略」実現に向けた政策の推進、など9つの柱立てをした。
このうち生産基盤の強化については、水田の麦、大豆、米粉用米等の戦略作物の本作化や飼料作物等の導入支援などに向けた水田活用直接支払交付金に3460億円(今年度当初3050億円)を要求、野菜や果樹、花きなどの生産基盤強化を図る持続的生産強化対策事業に201億円(同174億円)などと増額を目指す。
「みどりの食料システム戦略」関連では、総額で約556億円を要求した。化学農薬・化学肥料の使用料低減と高い生産性を両立する新品種・技術の開発などに向けた「みどりの食料システム戦略実現技術開発・実証事業」に80億円(同35億円)、持続可能な食料システム構築などに向けて中長期的に研究開発する「ムーンショット型農林水産研究開発事業」に22億円(同2億円)、カーボンニュートラルを見据えた森林・林業・木材産業グリーン成長総合対策等に155億円(116億円)とそれぞれ増額を図る。
スマート農林水産業の水産などに向けたは、次世代の農業者育成につながるロボットやAIなど先端技術の実装の加速や、農業教育機関の学生などへの教育・研修等の推進など、スマート農業総合推進対策に39億円(同14億円)を計上したほか、サービス事業体の創出や新たな技術開発・事業化をめざすスタートアップへの総合的支援に10億円(同4億円)を盛り込んだ。
農地の効率的な利用と人の確保・育成、農業農村整備に向けては、将来の農地利用の姿などを明確化した地域計画の策定推進に新たに24億円を計上。農地中間管理機構を活用した農地の集約化の推進に104億円(同51億円)、多様な人材の確保・育成に向けて、新規就農者の育成・確保に向けた総合的支援に224億円(同207億円)とそれぞれ増額を図る。
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