集落調査の継続を提言 中山間地域フォーラム 林業経済学会 署名運動も始まる2022年9月21日
農林水産省が2025年農林業センサスから「農業集落調査」を廃止する方針を打ち出したことに対して調査継続を求める提言が農業関係の学会などから相次いでいる。ネットによる署名活動も始まっている。
基本計画と矛盾
中山間地域フォーラムは9月15日に「農業集落調査に関する意見書」を農水省に提出した。
意見書では現行基本計画に「農村の実態や要望について、農林水産省が中心になって、都道府県や市町村、関係府省や民間とともに現場に出向いて直接把握し、把握した内容を調査・分析した上で、課題の解決を図る取組を継続的に実施する」と盛り込んだことを指摘、「これまでにない積極的な方針を明確にした」にも関わらず、集落調査を廃止することは「基本計画に矛盾する」と批判している。
また、集落機能の維持が困難な地域が増える一方、田園回帰など新しい動きに「目が離せない重要な時期」にあるとして、調査方法や調査項目の改善などを含め、時間をかけて検討すべき、と提起している。
林業経済学会理事会は9月16日、「2025年度農林業センサス農業集落調査の継続を求めるアピール」を出している。
アピールでは「日本の農山村は集落ひとつひとつの固有性が大きく全数調査でなければ得られないデータが多々ある」として、調査の廃止は「学術的に看過できない重大な問題」と強調している。廃止すれば地方創生や国土強靭化などにも深刻な影響が懸念されることから、これまでどおりの調査実施を求めている。
また、9月19日には「くらしと国土を守るため集落の全数調査を継続させましょう!」と署名を求めるサイトも作成された。幅広い有識者が呼びかけ人になり、「農水省が『集落』の全数調査をやめることは先祖代々続いてきた「村」の「名前」を消し<村の履歴>の更新を止めること」と強調している。
農林水産省は9月22日に第2回2025年農林業センサス研究会を開き集落調査の廃止方針について改めて議論する。
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